レディバードブックス100点セット
 

町のねずみ・いなかのねずみ

 

町のねずみ・いなかのねずみ

町のねずみ・いなかのねずみ

いなかの小道の下のほうにある、とある古木の根っこの奥深くに、いなかのねすみが住んでいました。彼は冬の間の食べものをみつけるのに1日じゅういそがしく働いていました。

 ある夜おそく、いなかのねずみは、彼のいとこの都会のねずみが彼を訪ねて小道をおりてくるのを見て、とても驚きました。

 「気をつけて!」 と、いなかのねずみは1羽のふくろうが、都会のねずみをつかまえようと急降下してくるのを見たとき、叫びました。いなかのねずみは都会のねずみを、みぞの中へ強く押したおし、それで、そのふくろうは飛び去りました。彼ら2ひきはどんなにこわかったことでしょう。

 「おれのうちへようこそ」 と、いなかのねずみは言いました、「あんたは、いなかが大好きになるだろうさ。ここはとっても気持がよくって静かだよ。あんたがずっとここにいられるといいな」

 いなかのねずみは夕食をどっさり作りました。けれども都会のねずみは、その質素な食べものも厚手のマグカップやお皿も気に入りませんでした。

 寝る時間になると、都会のねずみは自分用の小さいわらのベッドが気に入りませんでした。わらのベッドは彼を錨つけ、くしゃみを出させました。

 「いなかは暗すぎて、静かすぎる」 と、都会のねずみは言いました。「ぼくは眠れないよ」

 そこでいなかのねずみは、都会のねずみにもっとたくさんのろうそくと、温かい飲みものを与えました。

 毎朝、おひさまがのぼる前から、いなかのねずみは冬の間の食べものをみつけるのにいそがしく働いていました。「おれの手伝いをしにきておくれよ、いとこよ」 と、いなかのねずみは言いました。
都会のねずみは、手伝いをすることが好きではありませんでした。彼は働くことが好きではなかったし、自分の服や手をよこすことが好きではありませんでした。

 ある日、彼らが麦畑ですわっているとき、1羽のタカが都会のねずみをひっつかみ、都会のねずみをつかんだまま飛び去りました。「やめてくれ!」 と、いなかのねずみは叫びました。「あれで、かわいそうに都会のねずみはおしまいだ」

 けれども、都会のねずみの葉巻から出る煙が、そのタカに鼻づまりをおこさせ、くしゃみさせたので、タカは都会のねずみを干草の山に落としてしまいました。

 ある朝、彼らはマッシュルームをみつけるために牧場を横切りました。
「ぼくはいなかが好きじゃないな」 と、都会のねずみはため息をついて言いました。「(いなかは)暗くって、寒くって、湿っぽくって、それに(なんてったって)静かすぎるよ」

 牧場に住んでいる馬が、その2ひきのねずみと友だちになろうとやってきました。都会のねずみはあんまりおどろいたので、湿った草の中に、まっさかさまに落ちてしまいました。

 「ねえ、いとこよ」 と、都会のねずみは言いました 「ぼくはいなかにあきちゃったよ。都会はあったかくて、カラッとしているし、食べものを探す必要なんかないんだ。きみは自分で行って確かめるべきだよ」

 ある夜おそく、都会のねずみは、小道のはずれの家族が、都会に行くために車に乗りこんでいるのを見ました。
「さあ、早く、いなかのねずみくん」 と、彼は大声で叫びました。「出かけよう」

 彼らはその車の中にかくれ、そして、都会のまん中で飛びおりました。いなかのねずみは、これまでそのような恐ろしい騒音を耳にしたことも、そんなにたくさんのあかりを目にしたこともありませんでした。

 「これがぼくの住んでいるところだよ」 と、都会のねずみは言いました。その家は何と大きかったことでしょう。都会のねずみの家族は、彼のいなかのいとこに会って、何と幸せだったことでしょう。

 都会のねずみたちは、いなかのねずみをどんなに歓迎したことでしょう。(ならべられたものは)何とすばらしい食べものや果物やケーキやビスケットやクリーム菓子やチョコレートだったのでしょう。すべてのものが、いなかのねずみにとって、ぜいたくで、甘美すぎました。

 都会のねずみと彼の家族は、いなかのねずみを案内して、その家をひとまわりさせました。すべてのものが、かわいそうにいなかのねずみにとって大きすぎました。

 寝る時間になると、いなかのねずみは、自分用の小さいやわらかいベッドが気に入りませんでした。その部屋は、大通りからの光で、明るすぎました。

 次の日、彼らは公園ヘピクニックに行きました。けれどもペリカンやあひるたちが、ねずみたちの食べものを食べてしまい、彼らを追いはらいました。

 1ぴきの犬が、いなかのねずみを小さいくずかごの下へ追いつめましたが、都会のねずみがその犬にレモネードを浴びせました。彼ら2ひきは、どんなにこわかったことでしょう。

 家に帰ると、いなかのねずみはもう少しでカーペット・クリーナー(じゅうたん掃除機)に吸いこまれるところでした。彼は何とついていなかったのでしょう。

 まさに次の日、彼は都会のねずみとその家族に、ねずみとりから助けられました。けれども、彼らはみんな猫にみつかってしまいました。彼らは壁の中の穴へ必死に駆けもどりました。

 そのねこは、昼も夜も1日じゅうその部屋に居続けました。ねずみたちはとてもお腹がすきました。彼らは食べものを全然持っていなかったのです。

 その夜、いなかのねずみは自分の家の夢を見ました。彼は木々と大地の夢をみました。彼は木々と大地のにおいをかぎました。彼は自分の家に帰ることをどんなに望んだことでしょう。

 朝になると、その木のにおいは本物でした。クリスマス(の時期)なので、誰かが部屋の中へ1本のツリー(木)をおいたのでした。そのツリーの下には、かご入りの贈物がひとつありました。「これ(この贈物)は、きみの家のそばへ送られるんだ」 と、都会のねずみは叫びました。

 いなかのねずみは、家に帰ることができました。彼はそれが貨物自動車に積みこまれているちょうどそのとき、その贈物の中へ跳んで入りました。

 いなかのねずみはその貨物自動車から、彼の住む小道にころがり出ました。彼は教会の鐘の音をきくことができました。その日はクリスマス・イブだったのです。

 いなかのねずみは教会まで走っていきました。彼は、自分以外のいなかのねずみ全部が、クリスマス・キャロルを歌うために教会へやってくることを知っていたからです。

 「おいでよ、いなかのねずみのおにいちゃん」 と、一番小さいねずみが言いました。「おにいちゃんは、おにいちゃんの大冒険をぼくらに話してくれるのにクリスマスを全部使ったっていいんだよ」 いなかのねずみは長いため息をつきました。彼がしたいと思うすべてのことは、忘れる! ということだったからです。


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