レディバードブックス100点セット
 

みにくいあひるの子

 

みにくいあひるの子

みにくいあひるの子

田舎の夏でした。すべての乾草は山と積まれ、小麦畑は黄色く色づいていました。畑の緑をぐるりと運河が流れており、畑のちょうどまん中に古い家がありました。

 運河の土手には、背の高いすかんぽの葉が繁っていました。そこに1羽のあひるが巣の上にすわっていました。彼女は、あひるの子がかえるのを待っていたのです。彼女は長い間待ちつづけていました。

 ついに、卵が割れはじめました。1つずつ、あひるの子は頭をつきだしました。「ぴよぴよ」と、彼らは大きな外の世界を見て鳴きました。

 まもなく、ひとつを除いてすべての卵がかえりました。それ(かえらない卵)は一番大きい卵でした。

 あひるは、それがかえるまで、さらにしばらく卵の上にすわっていました。ころがりでました、彼女の最後のひなが。彼女は彼を見て言いました 「おやまあ、おまえは大きくてみにくいね」

 翌日は暖かく、日が照っていました。あひるは彼女の新しい家族を運河へ連れていきました。彼女はばしゃんと水にとびこみました。1羽また1羽と、あひるの子は彼女の後に続きました。すぐに彼らはみんな、大きな、みにくい灰色のあひるの子さえも、美しく泳いでいました。

 次に、お母さんは、あひるの子たちをあひるの庭に連れていきました。「私のそばにいて、猫に用心しなさい」 と、彼女はみんなに言いました、「それから、向うにいるあひるさんに忘れずにお辞儀をしなさいよ」 それは、このあひるの庭で一番年をとった一番偉いあひるでした。

 あひるの庭はたいへん騒がしいところでした。あひるの子どもはお母さんのそばについて歩き、忘れずにお辞儀をしました。他のあひるたちは、彼らをみんな美しいと思いました──大きな、みにくいあひるの子を除いてですが。

 あひるの子どもたちはあひるの庭に住んでいましたが、みにくいあひるの子はたいへん不幸でした。年上のあひるたちは、彼をつっついて笑いました。彼には、どこへも行くところはありませんでした。

 ある日、彼は逃げだしました。彼は、野生のかもが住んでいる大きな沼地に着くまで走りました。あひるの子はたいへん疲れてしまいました。

 彼はまる2日間、灯心草の中に横たわっていました。やがて、野生のかもやがちょうが彼を見にやってきました。「おまえはたいへんみにくいね」 と、彼らは言い、彼を見てあざ笑いました。

 かわいそうにみにくいあひるの子は、大きな沼地から逃げだしました。彼は、野原や草地をこえて、どんどん走りました。

 風が吹き、あひるの子は寒く、おまけに疲れました。

 暗くなりかかっていました。あひるの子は小さな小屋をみつけました。それはたいへん古びていて、ドアは落ちかけていました。あひるの子が、寒さからのがれて内にはいりこめるだけの大きさの、すき間があいていました。

 年をとった女の人がひとり、この小屋に住んでいました。彼女はのどをごろごろならすことのできる猫と、卵を産むめんどりを飼っていました。彼らは朝になって、あひるの子をみつけました。

 おばあさんは言いました 「おまえはここにいていいよ。こんどはあひるの卵が食べられるだろう」

 そこで、あひるの子はそこにとどまりましたが、彼は卵を産みませんでした。

 猫は彼に言いました 「おまえは、のどをごろごろならすことができるかい」
「いいえ」と、あひるの子は答えました。
めんどりは言いました 「おまえは、卵を産むことができるかい」
「いいえ」 と、あひるの子は悲しく答えました。
「それでは、おまえはここを出ていかなければならないよ」 と、猫とめんどりが言いました。

 みにくいあひるの子は再び出かけました。彼は沼地の中を歩き、氷の上に浮びました。彼がどこへ行っても、鳥やけものが言いました 「おまえは何て大きくてみにくいのだろう」

 冬が近づいていました。葉っぱは木から落ちてしまっていました。地面は冷たくて固く、あひるの子はどこにもいる場所がありませんでした。

 ある晩、鳥の群れが頭上を飛びました。彼らは長い首を持った美しい白鳥でした。
「私があんなにきれいだったらいいのになあ」 と、あひるの子は言いました。

 冬はさらに寒くなりました。あひるの子は、水を見つけるために氷をつっつかなければなりませんでした。ある夜、彼はたいへん疲れて氷の上で眠ってしまいました。

 朝になって、ひとりの農夫があひるの子を見つけました。

 彼は妻に世話をさせようと、あひるの子を家に連れてきました。

 あひるの子がだんだんよくなると、農夫のこどもたちは彼と遊びたがりました。あひるの子はびっくりして、彼らから逃げようとしました。

 彼は牛乳かんにとびこみ、小麦粉の樽の上におりました。子どもたちは笑って彼を捕えようとしました。あひるの子は遠くへ逃げました。

 彼は、長く寒い冬の間じゅうずっと、沼地のあしの中にかくれていました。
それから、暖かい春の太陽がやってきました。あひるの子は彼の翼をひろげました。それは今は強い翼となっていて、彼は空高く舞いあがりました。

  彼は運河の上を飛び、3羽の美しい白鳥を見ました。あひるの子は地上におりたとき、水にうつった自分の姿を見ました。彼はみにくいあひるの子なんかではありませんでした。彼は美しいまっ白な白鳥でした。
「私たちといっしょにいらっしゃい」 と、他の白鳥たちが言いました。
そして、彼はそうしたのです。


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