レディバードブックス100点セット
 

 

王女と豆

昔むかし、ひとりの王子がいました。大人になったとき、彼は王女と結婚したいと思いました。しかし彼は、彼女が「本当の」王女であることを望みました。

 王子は、彼が結婚できる「本当の」王女をさがして、世界じゅうを旅しました。

 王子は数多くの王女と会いました、しかし、彼女たちにはいつもどこか欠点がありました。ある人は背が高すぎ、またある人は低すぎました。ある人はあまりにも悲しげで、ある人は陽気すぎました。

 どういうわけか、王女のうちひとりとして本当に申し分のない人はいませんでした。王子は彼女たちが「本当の」王女かどうか確信が持てなかったのです。

 とうとう、王子は再び家に帰りました。彼は「本当の」王女と結婚したいと思っていましたのでたいへん悲しみました。

 やがてある夜、恐ろしい嵐となりました。稲妻が光り、雷が鳴り、風が吹き、雨がはげしく降りました。

 嵐の最中に、お城の戸をたたく音がしました。年とった王様がドアを開けにいきました。

 はげしい雨の中、立っていたのは、ひとりの愛らしい婦人でした。彼女は王女だったかもしれませんが、すっかり濡れそぼっていて、しゃべることも難しかったのです。

 彼女の髪はとても濡れていたために、髪からしずくが顔へと流れ落ちていました。服もとても濡れていたために、服からもしずくが流れていました。
彼女の靴もひどく濡れていたために、つま先に水がはいり、かかとから水が出ていました。

 王様は王女を、風雨の中からお城の中へと招き入れました。

 彼女は水たまりの中に立ち、そして彼女が言えたのは 「私は本当の王女です」 という言葉だけでした。

 王子は彼女が 「私は本当の王女です」 と言うのを聞いたとき、自分の耳を信じることができませんでした。

 年とった女王も、彼女が 「私は本当の王女です」 と言うのを聞きました。

 「私たちはそのことについて考えてみよう」 と、年とった女王は思いましたが、彼女は何も言いませんでした。

 王女が入浴し、体を乾かし、乾いた服を着る間、女王は王女のための寝室の様子を見にいきました。

 女王はすべての寝具をベッドから取り除かせました。それから彼女は、豆を一粒マットレスの下におきました。
それから、その上にたくさんのマットレスがおかれ、とうとう20枚のマットレスが豆の上にしかれました。

 つぎに女王は、20枚のマットレスの上に数多くの羽根ぶとんを重ねさせました。
「さあこれで、彼女が本当の王女かどうかわかるでしょう」 と、女王はひとりごとを言いました。

 王女は体も暖まり、食事をとると、女王は彼女を寝室へ連れていき、ベッドの中に入れました。

 朝になって、年とった女王は王女に会いにいきました。「よくお休みになれましたか、あなた」 と、彼女はたずねました。

 「ひどいものでしたわ」 と、王女は答えました 「一晩じゅう、ほとんど一睡もできませんでしたわ」
「どうかしたのですか」 と、年とった女王はたずねました。

 「ベッドの中に何があったのかはわかりませんが」 と、王女は答え、「何か固いものがベッドの中にあったのです。今や私は体じゅうあざだらけです」

 それで女王は、彼女が 「本当の」 王女であることがわかりました、なぜならば、彼女は20枚のマットレスと数多くの羽根ぶとんを通して豆があることを感じとったからです。「本当の」王女だけがそんなにデリケートになれるのでしょうから。

 王子は、女王が「本当の」王女を見つけ出したと彼に告げたとき、喜びでいっぱいになりました。

 さて、女王は豆をベッドから取り除かせましたので、かわいそうな王女はぐっすり眠ることができました。

 王子と「本当の」王女の結婚式が準備されました。そして、お城の中ではみな大喜びでした。

 豆はどうなったのかといいますと、それは博物館の中に置かれました。誰も持ち去っていないのなら、それはまだそこに見られるかもしれません。


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