レディバードブックス100点セット
 

 

魔法のかゆなべ

昔、母親と住んでいるかわいい少女がいました、母親は未亡人でした。
彼女たちはとてもびんぼうで、ある日、食べるものがなにもなくなってしまいました。

 かわいい少女は森へ遊びに入りました。彼女はあんまりお腹がすいていたために、泣きだしてしまいました。

 ひとりの年とった女の人が、少女に近づいてきました。
「あなたは、なぜ泣いているのかね」 と彼女はたずねました。「とてもお腹がすいているの」と、かわいい少女は言いました。

 「それなら、もうこれからは、お腹がすくことはありませんよ」 と、年とった女の人は言いました。彼女は、かわいい少女に小さな料理用のなべを与えました。

 それから、年とった女の人は言いました 「お腹がすいたら、このおなべに『料理しなさい、小さなおなべ、料理しなさい!』と言いなさい、それは、あなたのために、とてもおいしいおかゆを作ってくれますよ」

 「おなべに、作るのをやめさせたいときには」 と、年とった女の人は続け、「『やめなさい、小さなおなべ、やめなさい!』と言わなくてはなりません」
かわいい少女はとても空腹だったので、すぐにおかゆを食べたくなりました。そこで、彼女は小さなおなべに言いました。「料理しなさい、小さなおなべ、料理しなさい…」

 小さな料理なべは命令されたとおりに、おかゆを作りはじめました。かわいい少女は待ちきれないほどでした。
おかゆができあがると、かわいい少女は 「やめなさい、小さなおなべ、やめなさい!」 と言いました。そのおかゆはたいへんおいしくて、かわいい少女は一粒も残さずに食べました。

 かわいい少女はその料理なべを持って家まで走り、お母さんのところへきて、彼女に年とった女の人が言ったことを話しました。
「もう、私たちの心配の種はなくなったわ」 と、お母さんはうれしそうに言いました。「その小さなおなべが私たちを養ってくれそうね!」

 彼女たちはお腹がすくといつでも、料理用なべに言いました 「料理しなさい、小さなおなべ、料理しなさい!」
おかゆはいつもとても味がよく、ふたりはいつもおかゆを楽しみました。

 ある日、かわいい少女は散歩に出かけました。彼女が外出中に、お母さんはお腹がすいてきました。そこで彼女は言いました。「料理しなさい、小さなおなべ、料理しなさい!」

 なべはおかゆを作りはじめました。お母さんはそれを食べはじめました。
それはたいへんおいしいおかゆで、お母さんはそれを楽しみました。

 彼女はおかゆを食べるのに忙しくて、なべに作るのをやめるように言うのを忘れてしまいました。
なべは、どんどんおかゆを作り続けました。

 まもなくおかゆは、小さな料理用なべからあふれ出しました。
お母さんはそれを見て、なべに作るのをやめるように言わなくてはならないことを知りました。しかし、彼女はその言葉を忘れてしまっていたのです!

 なべは、さらにおかゆをどんどん作り続けました。まもなくテーブルはおかゆであふれ、台所の床もおかゆであふれてしまいました。
それでもなお、小さななべは、おかゆをどんどんどんどん作り続けました!

 やがて家じゅうが、おかゆでいっぱいになりました。
それでもなお、小さななべは、おかゆをどんどんどんどん作り続けました!

 やがて隣の家も、おかゆでいっぱいになりました。
それでもなお、小さななべは、おかゆをどんどんどんどん作り続けました!

 まもなく、その通りにあるすべての家が、おかゆでいっぱいになりました。
それでもなお、小さななべは、おかゆをどんどんどんどん作り続けました!

 まもなく、町にあるほとんどすべての通りが、おかゆでいっぱいになりました。
それでもなお、小さななべは、おかゆをどんどんどんどん作り続けました!

 すべての家からすべての人びとが、通りに出てきました。
小さななべに、おかゆを作るのをやめさせる方法を知っている人は、だれもいませんでした。なべはひたすら、おかゆをどんどんどんどん作り続けるだけでした。

 町の人びとは、やがて世界じゅうが、おかゆでいっぱいになってしまうだろうと思いはじめました。

 おかゆがちょうど、町の最後の家に達しようとしていたときに、かわいい少女が散歩からもどってきました。

 最初、彼女は町になにが起ったのかわかりませんでした。
「どうか小さなおなべに、これ以上おかゆを作るのをやめさせておくれ」
と、お母さんが叫びました。

 かわいい少女は言いました 「やめなさい、小さなおなべ、やめなさい!」
そうしてついに、やっとのことで、小さななべはおかゆを作るのをやめました。

 しかし、今でもその町に入りたいと思う人は、だれでもたくさんのおかゆの中を、おかゆを食べながら進まなければならないことでしょう!


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