レディバードブックス100点セット
 

 

あかずきん

昔、彼女を知っている人には、誰にでも好かれるかわいい少女がいました。
彼女のおばあさんは、その子をたいへんかわいがり、彼女に贈物をして楽しんでいました。あるとき、彼女は女の子に、赤いきれいなビロードのケープ(肩マント)と、ずきんを作ってやりました。
少女はそれがたいへん気に入り、外へ出るときには必ずそれを身につけました。やがてみんなが彼女のことを 「赤ずきん」(かわいい赤いずきんをかむった子) と呼ぶようになりました。

赤ずきんは、大きな森のはずれに近い村の小さな小屋に、お父さんとお母さんといっしょに住んでいました。
彼女のお父さんはきこりで、森の中で1日じゅう働きました。

 赤ずきんのおばあさんは、約1マイルほど離れたところに住んでいました。彼女は、森の中の小さな小屋にひとりで住んでいました。
赤ずきんは、おばあさんが彼女を愛しているのとまったく同じくらい、おばあさんを愛していました。ほとんど毎日、彼女は森の中の道を通っておばあさんを訪ねました。

 ある日、赤ずきんのお母さんが彼女を呼んで言いました 「赤ずきん、私はこのかごの中に、ケーキとワインを1びん入れておきました。これをおばあさんのところへ持っていってもらいたいの。おばあさんは病気で、これは体によいでしょうから」
「道をいくんですよ、森の中を歩きまわってはいけません」 と、赤ずきんのお母さんは彼女に注意しました。

 「注意して歩くのよ、走ってはいけません、さもないとびんがこわれてしまうかもしれません。そうなると、おばあさんのところへワインを持っていけなくなりますよ」 と、お母さんは続けました.
「よく注意するわ」 と、赤ずきんはかごを持ち、お母さんにさよならと手を振りながら、約束しました。

 森の中の道をあまり進まないうちに、赤ずきんはおおかみに会いました。
彼女はこれまで、おおかみに会ったことがありませんでしたから、おおかみがどんなに邪悪な動物なのか知りませんでした。彼女は彼のことを大きな犬だと思い、全然彼をこわがりませんでした。

 「おはよう、赤ずきん」 と、おおかみは言いました.
「おはよう」 と、彼女は答えました。
「こんなに朝はやく、どこへいくんだい」 と、おおかみはたずねました。
「おばあさんのところよ」 と、彼女は答えました。
「かごの中には何を持っているのかね」 と、おおかみは続けました。
「ケーキとワインを1びん」 と、赤ずきんは言いました。「おばあさんは病気なの、それでお母さんは病気がよくなるようにと、これを届けるのよ」

 「おばあさんはどこに住んでいるんだい、赤ずきん」 と、おおかみは続けました。
「森の中の、あと半マイルほど行ったところよ」 と、赤ずきんは答えました。「彼女の小屋は、3本の大きなカシ木の下にたってるわ」
「この子はなんとやさしくて若い生きものだろう」 と、おおかみは思いました。「彼女は老女よりも汁がたっぷりだろうな。もし私がずる賢いのなら、どうにかして2人とも食べてしまうべきだな」

 そこでおおかみはしばらくの間、彼女としゃべったり、見えるものを指さしたりしながら、赤ずきんのそばをぶらぶら歩きました。
「木の下のたくさんの美しい花をごらん」 と、彼は言いました。「きれいな花だとは思わないかい? 鳥が歌うのが聞こえないかい? 道をまっすぐ行くより、とどまってこれらを楽しんだ方がいいよ」

 それから、おおかみは赤ずきんにさよならを言うと、おばあさんの小屋に向かって急いで出発しました。
赤ずきんはおおかみに言われたとおりに、自分のまわりを見まわしました。森はほんとうに愛すべき場所でした。日の光が木々の間に踊り、地面には美しい花のじゅうたんがあり、頭の上では鳥が楽しく歌っていました。

 「おばあさんのために、新鮮な花をつんで花束を作りましょう」 と、赤ずきんは思いました。「花は、おばあさんがよくなるのを助けるでしょう」
そこで、彼女はおばあさんに持っていくために、一番きれいな花を摘みながら、道をどんどんはずれていきました。

 それまでに、おおかみはおばあさんの小屋に着いていました。彼はドアをノックしました。「そこにいるのはだれ」 と、おばあさんが呼びかけました.
「赤ずきんです」 と、おおかみは答えました。「私はあなたにケーキとワインを持ってきました」
「掛けがねをはずして、ドアを開けてはいっていらっしゃい」 と、おばあさんは言いました.「私は体が弱ってしまって、起きられないの」

 おおかみは掛けがねをはずし、ドアを開けて中にはいりました。ひとことも言わずに、彼はおばあさんのベッドに近づき、ひと口におばあさんをのみこんでしまいました。
それから、おおかみは彼女の寝間着のひとつをきて、ナイトキャップをかぶり、それを目のすぐ上まで引き下げました。彼はカーテンを引き、ベッドの中にはいって、あごのところまでふとんをひっぱりました。そして彼は待ちうけました。

 一方、赤ずきんは道から遠くはずれてさまよいました、たいへん愛らしい花は、いつもずっと遠くの方にあるように思えたからです。
彼女は両腕でかかえるほど多くの花を摘んでから、病気で寝ているおばあさんのことを再び考えはじめました。彼女は道にもどって、歩きはじめました。

 赤ずきんがおばあさんの小屋に着いたとき、彼女はドアが開け放しになっているのを見て驚きました。
「おはよう、おばあさん」 と、彼女は中に入りながら呼びかけました、しかし返事がありません。
それで、赤ずきんは少し不安になりました。彼女はベッドに近づいて、カーテンを開けました。

 そこにはおばあさんが、ナイトキャップを目のところまで引き下げ、ふとんをあごのところまでかぶって、変な様子で寝ていました。
「まあ、おばあさん」と、彼女は叫びました。「なんて大きな耳をしているの」
「おまえの話をもっとよく聞けるようにだよ」という答が返ってきました。

 「まあ、おばあさん。なんて大きな目をしているの」
「おまえがもっとよく見えるようにだよ」
「まあ、おばあさん、なんて大きな手をしているの」
「おまえをもっと抱きしめたいからだよ」
「まあ、おばあさん、なんて大きな口をしているの」
「おまえをもっとうまく食べたいからだよ」

 こう言うと、おおかみはベッドからとび出して、ひと口で赤ずきんをのみこんでしまいました。
それから彼はベッドにのぼり、横になってぐっすりと眠ってしまいました。まもなく彼はいびきをかきはじめました。彼のいびきはたいへん大きかったので、小屋がふるえました。

 ちょうどそのとき、赤ずきんのお父さんが近くを通りかかりました。彼はものすごいいびきが小屋から聞こえるので、なぜ赤ずきんのおばあさんが、あんな大きないびきをかいているのか調べに、中に入った方がいいだろうと思いました。
彼がベッドに近づくと、おおかみがそこに寝ているのが見えました。

 「この悪者め」 と、彼は激怒して叫びました。「私は長い間、おまえをこの手でやっつけたいと思っていたのだ」
斧の一撃で彼はおおかみを殺し、ベッドから引きずり出しました。そのとき、ある考えが浮かびました。たぶん、おおかみはおばあさんをまることのみこんでしまっただろう、だから多分、おばあさんをまだ救うことができるだろう。

 赤ずきんのお父さんは、生きたままおばあさんを、おおかみのお腹の中に見つけたいと期待しながら、おおかみを切り開きました。
かわいい赤いずきんが見え、それから赤ずきんがとび出してきたとき、彼はどんなに驚いたことでしょう。

 「わあ、私とってもびっくりしたわ」 と、赤ずきんは叫びました。「おおかみのお腹の中って、とっても暗かったのよ」
それからお父さんは、おばあさんを助け出しました。彼女はまだ生きていましたが、たいへん弱っていました。

 赤ずきんとお父さんは、おばあさんをベッドに寝かせました。彼らは、おばあさんにケーキとワインを少しあげました。まもなく、彼女は体を起し、少し気分がよくなっていました。
物事がそんなにうまく運んだので、彼らはみんな、なんと幸せだったことでしょう。

 赤ずきんのお父さんは、赤ずきんの手をとり、感謝しながら彼女をお母さんのもとへ連れ帰りました。万事うまく運んだので、お母さんもなんと幸せだったことでしょう。
「私が生きているかぎり」 と、赤ずきんはお母さんに言いました 「お母さんがそうしてはいけないと注意したときには、もう二度と森の道からはずれません」


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