レディバードブックス100点セット
 

 

シンデレラ

 昔、シンデレラという少女がおりました。お母さんが死んでしまい、彼女は、お父さんと2人の姉と暮していました。
シンデレラの2人の姉は色白で美しかったのですが、性格が悪く不親切だったので、2人の顔は成長するにつれて醜くなっていきました。そして、シンデレラが美しい少女なのをねたみ、しばしば意地悪をするのでした。

 醜い姉たちは、シンデレラに家の中の仕事をみんなやらせました。彼女は暖炉にくべる石炭を運び、食事を作り、お皿を洗い、服を洗たくしたり、繕ったり、床を掃いたり、家具をきれいにしたりしました。シンデレラは朝から晩まで休むことなく働きました。

 シンデレラは家事のすべてをやったばかりでなく、姉たちの着がえまで手伝いました。彼女は姉の靴をみがき、髪をとかし、リボンを結び、留め具を締めてあげました。
姉たちはすばらしいドレスを何着も持っていましたが、とても性格が悪かったので、やはり醜く見えました。
シンデレラはきれいな服など1着も持っていませんでした。彼女の持っているものといえば、古ぼけた灰色のドレスと1足の木靴だけでした。

 夜になり、へとへとになるまで働いても、シンデレラには眠るベッドがありませんでした。彼女は暖炉のそはの灰がらの中で眠らなければなりませんでした。姉たちが彼女のことをシンデレラ(灰かぶり)と呼んだのは、彼女がいつもほこりっぽく汚れて見えたからでした。

 さて、王様が息子のために、豪華な饗宴を催すことになりました。その饗宴は3日間続き、毎晩大きな舞踏会が開かれることになっていました。
その国のすべての美しい若い娘たちが、王子が自分の花嫁を選べるように招待されました。

 シンデレラの姉たちも舞踏会に招かれました、2人ともあんまり興奮して、ほかに何も話せませんでした。シンデレラは招かれませんでした。彼女はいつもぼろ服を着て台所で働いているところしかみられなかったので、みんなは、彼女は姉たちの女中だと思っていたのです。舞踏会の第一夜、シンデレラは姉たちに新しいドレスを着せ、髪を整えるのを手伝わなければなりませんでした。

 シンデレラはドレスを着て舞踏会に行き、王子様にお目にかかりたいとどんなに想像したことでしょう。涙が彼女の顔をながれはじめました。

 「なぜ泣いているの」 と、みにくい姉たちは不きげんにたずねました。
「私もきれいなドレスを着て舞踏会へ行きたいの」 と、シンデレラは答えました。
「舞踏会へ行きたいって!」 2人は笑い出しました。「舞踏会ではさぞやすてきなお姿でしょうよ」 そういって、シンデレラのぼろぼのドレスと木靴を指さしました。
姉たちが舞踏会へ出かけていった後、かわいそうにシンデレラはすわりこみ、まるで胸がはりさげるかのように泣きました。

 突然シンデレラは 「どうしたの、おじょうちゃん」 と、誰かの声がやさしくささやくのをききました。彼女は長いすからとびあがり、誰なのかを見ようとして振り返りました。そこにはシンデレラの名づけ親の妖精がやさしく笑いかけながら立っていました。

 「私、きれいなドレスを着て、舞踏会に行きたいの」 と、シンデレラは答えました。「私、舞踏会に行ったことがないし、パーティドレスも持ってないの」 シンデレラは続けました「それに、王子様にお目にかかりたいわ」
「それじゃ、そのとおりにしてあげるわ、おじようちゃん」 彼女の名づけ親の妖精は言いました。「涙をふいて私が言うとおりにしなさい」

 シンデレラは涙をふいて、彼女の名づけ親に微笑みかけました。
「まず、庭に行って、一番大きなカボチャをさがして持ってきておくれ」 と、名づけ親の妖精は言いました。
「ええ、いいわ」 シンデレラはそう言うと、庭に走っていきました。彼女は一番大きなカボチャを見つけてとりあげ、名づけ親の妖精のところへ持っていきました。

 名づけ親の妖精は、魔法の杖でカボチャにふれました。すると、すぐにそれは、想像もできないほどすばらしい馬車に変ったのです。外側は光る金でできていて、内側には赤いベルベットがしきつめられていました。

 「さあ、走っていって、パントリー(食料貯蔵室)から小さいネズミとりを持ってきておくれ」と、名づけ親の妖精が言いました。
「ええ、いいわ」 と、シンデレラは答えて、パントリーへ走っていきました。彼女はパントリーの戸の奥の床の上にある小さいネズミとりを見つけました。その中には6匹のハツカネズミが入っていました。
シンデレラは、名づけ親のところへ小さいネズミとりを持ってきました。魔法の杖を一振りすると、小さいネズミとりの戸は勢いよく開きました。6匹のハツカネズミが次々と走り出ました。
ハツカネズミが1匹ずつ魔法の枝にふれられると、それはすばらしい灰色の馬に変りました。金色の馬車を引く6頭のすばらしい灰色の馬に !

 「今度は、走っていって地下室から大きいネズミとりを持ってきておくれ」 と、名づけ親の妖精が言いました。
「ええ、いいわ」 と、シンデレラは言い、地下室への階段を走りおりていきました。彼女は中に野ネズミが1匹入っている大きいネズミとりを見つけ、名づけ親の妖精のところへ持っていきました。
妖精の杖が1回ふれると、大きいネズミとりは勢いよく開き、野ネズミが走り出ました。名づけ親の妖精が杖でそのネズミにふれると、それは、金モールで飾られた赤いお仕着せの服を着た、スマートな御者に早変りしたのでした。

 「最後に」 と、シンデレラの名づけ親は言いました。「走っていって、庭の下のキュウリのおおいにかくれている、2匹のトカゲをつかまえてきておくれ」
「わかりました」 と、シンデレラは言い、庭へ走っていきました。彼女はキュウリのおおいの裏をのぞき、そこに2匹の小さなトカゲを見つけて、彼女の名づけ親のところへ持っていきました。

 シンデレラの名づけ親の妖精は魔法の杖でトカゲにふれました。トカゲは、御者のお仕着せの服とおそろいの、金モールで飾った赤いお仕着せの服を着た、2人のスマートな召使に変りました。

 今や、 赤いベルベットでしきつめられ、6頭の灰色の馬に引かれた金色の馬車がありました。馬車を走らせる赤いお仕着せの服を着た御者と、ドアをあげる赤いお仕着せの服を着た2人の召使がそろったのです。
シンデレラは、自分の古い灰色のドレスと木の靴を見下ろしました。
「もう1度、私の魔法の杖がふれるのをみてごらん、おじょうちゃん」 と、名づけ顔は言いました。そのとき、最もすばらしい魔法がそこに起ったのです。

 シンデレラは、深いピンクの絹でできた美しいパーティドレスを身につけているのに気づきました。そのすそは広くひろがり、首のまわりと胴体の前には小さなフリルがついていました。ピンクのバラの花が彼女のカールした金色の髪にとめられ、足には上品なピンクのサテンの靴をはいていました。

 シンデレラの顔は喜びで輝いていました。「まあ! ありがとう、おばあさん!」 彼女は叫びました。「ありがとう!」

 「舞踏会で楽しんでおいで、おじょうちゃん」 と、彼女の名づけ親は言いました。「でも、忘れてはならないことが一つあるんだよ。あんたは時計が12時を打つ前に家にもどっていなくてはならない。というのは、12時の最後の鐘が鳴り終ると、馬車はカボチャにもどってしまうし、馬はハツカネズミに、御者は野ネズミに、召使はトカゲに、そしてあんたはもとのボロの服を着た女の子にもどってしまうんだからね」
彼女の名づけ親が彼女にさよならのキスをするとき 「忘れないわ」 と、シンデレラは答えました。
召使が馬車の入口のドアを開けました。シンデレラは腰をおろし、赤いベルベットのクッションの上にドレスのすそを広げました。御者が馬にムチを打ち、彼らは舞踏会へとむかいました。

 シンデレラが宮殿に着いたとき、彼女はたいそう美しかったので、醜い姉たちにはわかりませんでした。2人は彼女のことを他の国の王女に違いないと思いました。2人は、それがシンデレラとは夢にも思いませんでした、なぜなら彼女たちは、シンデレラは家の灰がらのそばにすわっていると信じていたからです。

 王子はこんなに美しい王女は、今までみたことがないと思いました。彼はシンデレラの方へやってきて彼女の手をとり、彼女と踊りました。夜の間じゅう、彼は他の女性とは踊らず、決してシンデレラから目を離さないようにしていました。他の誰かが彼女に踊りましょうと誘いにやってきても、王子は 「この方は私のパートナーです」 と言うのでした。

 シンデレラは、生涯でこんなすばらしい夜をすごしたことがありませんでした。しかし、彼女は、まだ彼女の名づけ親の警告をちゃんと覚えていました。
12時15分前になると、彼女はまだ他の客人たちが踊っている舞踏場を去っていきました。馬車が彼女を待っており、すばやく家まで彼女を乗せていきました。彼女が戸口にたどり着いたとき、ちょうど時計が12時を打っていました。
夜中の12時の最後の鐘が鳴り終ると、馬車はカボチャになり、馬はハツカネズミに、御者は野ネズミに、召使はトカゲにもどってしまいました。シンデレラのドレスも消えうせ、再び古ぼけたドレスと木靴を身につけているのに彼女は気がつきました。

 シンデレラは、姉たちを待つために暖炉のすみにすわりました。姉たちが家にもどると、いつものようにシンデレラは汚い服を着て灰がらの中におり、マントルピースにはうす暗い小さなオイルランプが燃えていました。
醜い姉たちは、舞踏会にいたどの婦人よりもはるかに美しかったあの美しい王女のこと以外、何も話すことができませんでした。2人は彼女のドレスや靴のことを話していました。王子がどのように彼女と一晩じゅう踊り、いかに王子が他の男性を彼女と踊らせないようにしたかを話しました。
しかし、誰も彼女が誰であるのかわかりませんでした。
シンデレラはこの話を全部きいていましたが、何も言いませんでした。

 次の日の晩、醜い姉たちは暖炉のそばにすわっているシンデレラを残して、2日目の舞踏会へと出かけていきました。
彼女らが行ってしまうとすぐに、シンデレラの名づけ親が再びあらわれました。前と同じように、彼女の魔法の杖が、御者と召使のついた金の馬車をこしらえてくれました。
今度のシンデレラのドレスは、最初の晩のものよりもさらに美しいものでした。
それはまっ青なサテンでできており、まっ青なネットのすそがふわふわと浮きあがり、銀の糸で刺しゅうされていました。深い青色のくつは銀のししゅうがされており、銀色の星の形をした飾りが髪の中で光っていました。
もう一度、シンデレラが名づけ親にお礼を言うと、彼女は12時までに忘れずに家に帰ってくるようにと言いました。

 シンデレラが青いドレスで舞踏会にあらわれると、すべての人が彼女の美しさに驚きました。王様の息子は彼女の来るのを待っており、すぐに彼女の手をとって彼女と踊り、彼女以外の誰とも踊りませんでした。

 他の男性がシンデレラの方へやってきて踊りませんかと誘っても、王子は言うのでした 「この方は私のパートナーです」
シンデレラはとても幸せでしたので、名づけ親の言ったことをほとんど忘れるところでした。やっと彼女が時計をみるのを思い出したときには、もう12時5分前でした。彼女は王子から離れ、できるだけ急いで舞踏場から出ていきました。

 シンデレラの馬車が彼女を持っており、彼らは大急ぎで出発しました。
しかし時計が12時を打ち始めたときは、まだ家まで半分来たところでした。
12時を打つ最後の鐘で、馬車も馬も御者も、そして召使も消えてしまいました。
シンデレラは、暗いさびしい道の真中で、古ぼけた灰色のドレスと木靴をはいた自分にもどっていることに気づきました。

 彼女はできるだけはやく、家への残りの道を走って帰らなければなりませんでした。それでも彼女は、彼女の姉たちが舞踏会から家に帰ってきたときには、灰がらのそばの長いすに腰かけていました。
今度もまた、醜い姉たちの話すことは、王子と踊っていた美しい見知らぬ婦人のことだけでした。

 3日目の舞踏会の晩も、シンデレラの名づけ親の妖精は、醜い姉たちが行ってしまうやいなやあらわれました。
名づけ親が魔法の杖で彼女にふれると、シンデレラは自分が今までより、さらにすばらしく豪華なドレスに包まれてるのに気づきました。
それは銀と金のレースでできており、彼女が動くとキラキラと輝きました。そして足には金の靴をはいていました。ダイヤモンドがのど元で輝き、金色の髪は目もくらやむばかりのダイヤモンドの髪飾りで高くもち上げられていました。
シンデレラは非常にうれしかったので、どのように名づけ親にお礼を言ってよいか、わからないくらいでした。
「楽しんでくるんだよ」 と、名づけ親は言いました。「でも時間を忘れちゃだめだよ」

 シンデレラが銀と金のドレスで舞踏会に着いたとき、彼女が非常に豪華だったので、すべての人は驚きのために形容する言葉が見つかりませんでした。
王子はその夜ずっとシンデレラとだけ踊り、誰かが彼女を踊りに誘っても、「この方は私のパートナーです」 と、言いました。シンデレラはとても幸せだったので、時間のことはすべて忘れていました。
突然、時計が12時を打ち始めました。シンデレラは、舞踏場で自分が古ぼけた灰色のドレスにもどってしまうことを恐れました。彼女はあまりにも急いでドアから走り出たので、片方の靴を忘れてしまいました。

 王子は彼女のうしろから走ってきて、靴を見つけました。それを拾い上げてみると、靴は小さくきゃしゃで、すべて金でできていました。

 シンデレラが、馬車のあった場所にもどってくるまでに馬車は消えており、彼女はぼろの服にもどっていました。今度は、家までずっと走らなければなりませんでした。
王子は、いたるところ、彼女を捜しましたが見つけられませんでした。
彼はまだ彼女の名前さえも知らなかったのですが、彼女に恋してしまい、彼女と結婚することに決めました。

 そこで翌朝、王子は金の靴をもって父王のところへ行ってこう言ったのです 「私の妻となる人は、この金色の靴にぴったり合う人以外に考えられません」

 王の伝令官がその町の通りに派遣され、青のクッションの上に小さな金の靴をのせて運んでいきました。王子自身も彼と踊った娘を見つけることを願って、伝令官の後について歩きました。
舞踏会に行ったどの娘も、靴をはくことを希望しました。どの娘も靴が自分の足に合い、王子と結婚できることを願いました。多くの娘が靴の中に自分の足を押しこめようとしましたが、どの足もこれほどきゃしゃな靴には大きすぎたのでした。
ついに王子に伴われた伝令官は、シンデレラの家にもやってきました。

 醜い姉たちは、おのおの王子と結婚しようとして、その小さな靴の中に自分の足を押しこめようとしました。しかし2人の足はともに大きく醜い足でした。足から血がでるほどもがいても、自分の足をその靴の中に押しこめることはできませんでした。

 ついに王子は、シンデレラの父のほうにふりかえってたずねました。
「もう娘さんはいらっしゃらないのですか」
「もう一人おりますが」 と、父親は答えました。「でも、いつも台所におるのですよ」 そのとき、醜い姉たちは声高に叫びました 「あの子は汚すぎるわ。とても自分の姿を見せられやしないわよ」
しかし、王子が強く頼んだので、シンデレラは連れてこられました。

 シンデレラはまず手と顔をきれいに洗って、王子の前に歩みよって頭を下げ、王子はシンデレラに金の靴を差し出しました。
彼女は長いすの上に腰をかけ、重い木の靴から足をぬき出して金の靴の中にするりと入れると、それはまるで手袋のようにぴったり合ったのです。
シンデレラが立ち上がり、王子がその顔を見つめたとき、彼にはそれがいっしょに踊ったあの美しい娘であるとわかりました。彼は叫びました 「この方が私の本当の花嫁です」
その瞬間、シンデレラの名づけ親の妖精があらわれ、シンデレラをもう一度美しい王女に変えました。古い灰色のドレスはベルベットのドレスに変りました。
王子はシンデレラを馬の上にだき上げ、いっしょに乗って帰りました。

 2人の醜い姉たちは、シンデレラこそが三夜続いた舞踏会にいた美しい王女だったことを知って、びっくり仰天しました。彼女らはあまりの激怒のために、まっ青になってしまいました。
宮殿では、王が王子の花嫁を喜んで迎えてくれました。王は王子とシンデレラのためにすばらしい結婚式を用意しました。その国のすべての王と女王と王子と王女が、その結婚式にかけつけました。結婚式の祝宴は1週間も続きました。
そして、シンデレラと王子はその後ずっと幸せに暮しました。


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