レディバードブックス100点セット
 

 

アリババと40人の盗賊

 昔、2人の少年がいました、2人は兄弟でした。兄はカシムと呼ばれていました。もう1人はアリババでした。2人が大人になったとき、カシムはお金持の女性と結婚しました。
アリババは、まったくお金を持っていない女性と結婚したので、2人はとても小さな家に住まなくてはなりませんでした、おまけに、おいしい食べものや飲みものも一度も口にしたことはなかったのです。
アリババは毎日、たきぎ用の木を切りに出かけました。いつも木を、3匹の小さなロバの背に乗せて帰ってきたものでした。そしてたきぎを持って町をまわるのです。おかみさんたちが何人か家から出てきて、彼から木を買うのでした。
こうして彼は暮しをたてていたのです。暮しはあまり楽ではなくて、一度だって奥さんや息子にたくさんのお金を持って帰ってきたことはありませんでした。

 ある日彼が森で働いていると、何人かの男たちが馬に乗ってやってくるのが見えました。彼は男たちの様子が気にくわなかったので、ロバにこう言いました、
「あの男たちにみつかりたくないんだ。木をとっていってしまうかもしれんからな。おまえたちはお行き、そうすればみつからないから、私はこの木にのぼっているよ。あいつらが行ってしまったらおまえたちを呼ぼう」
彼が木にのぼると、男たちがやってきました。そして最初の男が 「止まれ! 例の場所はあそこだ!」 と、言いました。

 男たちがみんな馬からとびおりると、アリババには、どの馬にも大きな袋がつんであるのが見えました。男たちはその袋を馬の背からおろすと、自分たちの背にしょいました。
それから馬は連れていかれ、男たちはアリババがのぼっている木の近くにある大きな岩に歩みよりました。
アリババは男たちが近くに来たとき、その人数を教えてみました。40人いました。

 大きな岩の前に立つと、そのうちの1人が叫びました。
「開け、ゴマ!」
アリババは、岩のところにあったとびらが開くのを見たのです! 男が中に入ると、他の者もみんな彼について中に入っていきました。一番最後の男が入るやいなや、とびらはふたたび閉じてしまいました。
「今おりて、家へ走って帰れるといいんだが」 アリババは言いました 「でもやつらはまたすぐに出てきて、私をみつけるかもしれないな」
そこで彼は、まだ木の上にすわっていました。彼は、なぜ今まで砦にあるとびらをみつけなかったのだろう! と、不思議に思いました。誰が開けたのでしょう? あれは、ほら穴の入口なのでしょうか?
そして、なぜ男たちはあの袋を中にもっていったのでしょうか? どれもとても大きな袋だったのです──中に何が入っていたのでしょう? お金でしょうか? 男たちは盗賊なのでしょうか? もしそうなら、木をおりるのは危険です。でも、なんて長いこと入っているのでしょう!

 やっと男たちが出てきました、でも袋は持っていませんでした。全員が出ると、頭(かしら)が叫びました、
「閉じろ、ゴマ!」
岩のとびらは閉まりました。それから彼らは馬のところへ行くと、背にとびのり、去っていってしまったのです!
アリババは大急ぎで木からおりました。彼は岩のところへ行って、あの男がしていたように 「開け、ゴマ!」 と、叫びました。すぐにとびらは開き、アリババはほら穴の中をのぞきこみました。中には盗賊が置いていった袋ばかりでなく、他にもいろいろなものがありました。──金、銀、宝石それに絹が。
ずぐずしてはいられません。もし男たちが帰ってきて彼をみつければ、彼を殺してしまうでしょう。そこで彼は急いで中に入ると、あたりをよく見まわしました。
男たちの置いていった袋には、お金がいっぱいつまっていたのです!

 彼はすぐに一番大きな金袋をいくつか、とびらのところまで引っ張っていきました。とびらは彼が中に入ったあと閉まっていたのですが、彼が 「開け、ゴマ!」 と叫ぶと、とびらはすぐに開いて彼を出してくれました。
それから彼が 「閉じろ、ゴマ!」 と言うと、閉まりました。
彼はまもなく自分の3頭のロバをみつけだしました。彼は金袋をロバの背中に乗せて、その上にたきぎを乗せました、こうしておけば誰も、お金がそこにあるなんて思わないでしょう。それから彼は家に帰っていきました。

 彼の奥さんは、袋の中のお金を見て、何を考えたらいいのかわからなくなってしまいました。彼は彼女にどこでこれをみつけたかを話し、誰にも話してはいけないと言いました。
「どこにしまっておくの?」 と、彼女は聞きました。
「穴を掘ってそこへ入れておこう」 と、彼は言いました。
「まず、お金がどのくらいあるかみてみましょう」 と、彼女は言いながら、袋の1つに手を入れました。彼女はひとつかみの金貨を取りあげると、指の間からこぼれ落としました。

 アリババの奥さんは金貨を数えだしました。
「1、2、3、4、5、6……」
「待て! それでは時間がかかりすぎる」 と、アリババは言いました。「いつまでたっても数えきれやしないよ。たくさんあるのだから」
「あなたは穴を掘っていてちょうだい、私はカシムのところへ行って、これを入れる箱をくれるように頼んでくるわ」 奥さんは言いました。「どのくらいあるか知りたいのよ」
「なぜ箱がいるのか言うんじゃないぞ」 アリババは、奥さんが行こうとしたとき言いました。

 カシムは家にいませんでした。彼は店に出ていたのですが、奥さんが家にいました。
「箱が何に必要なの?」 と、彼女はたずねました。
「小麦粉を中に入れるためよ」 と、アリババの奥さんは答えました。「それからカップも貸してもらえます? どのくらいあるか知りたいんですよ」
「いいわ、1つ取ってきましょう。でも使い終ったら返してくださいね」
と、カシムの奥さんは言いました。

 彼女はカップを取りにいくとき、こう考えました 「アリババの奥さんがどうしてそんなに小麦粉をたくさんもっているのかしら? 少ししか買うお金がないのに。あの人が何をしようとしているのか探らなくては。そうだわ!」
彼女はカップの底の見えないところにワックスを塗っておきました。アリババの奥さんは、箱とカップを持って大急ぎで帰っていきました。
「このカップいっぱいでいくらになるか調べてみましょう」 と、彼女は言いました。「それからこの箱をいっぱいにするのに、何カップいるか調べればいいのよ。そうすれば、ここにどのくらいのお金があるかわかるわ」
箱には、40カップのお金が入り、ひと袋のお金で3箱分になることがわかりました。しかも2人には3袋もあるのです! なんとたくさんのお金でしょう! 全部金なのです!  2人はたいそう喜びました。
「さあ、カップを返さなくては」 と、アリババの奥さんは言いました。

 彼女はカップの底のワックスに、金貨が1枚くっついていたのを知りませんでした。カシムの奥さんはすぐにそれをみつけて、主人が店から帰ってきたときに言いました、
「お金を持ってきました?」
「いいや」 カシムは言いました。「今日はあまり売れなかったんだ」
「アリババはお金を結構持っているわ」 と、奥さんは言いました。

 「何を言っているんだ、おまえは?」 と、カシムは言いました。「アリババが一文なしだってことは、おまえも知っているだろう」
「あら! 彼の方があなたよりずっと持ってますよ」 と、奥さんは言いました。「たくさんの金があって、それを大きな箱の中に入れているのよ」
そして彼女は、どうしてそれがわかったかをカシムに話しました。カシムは非常に不愉快になり、どこで金を手に入れたかを聞きにアリババの家へ行きました。

 「どうしてうちにお金があるとわかったんです?」 と、アリババは言いました。
カシムが、自分の奥さんがどのようにして探りあてたかを話すと、アリババは言いました、
「いいでしょう。お話ししましょう」
でも、カシムは欲深だったのです。彼はアリババよりお金が少ないのが我慢できなかったのです。そこでこう言いました、
「金のあるところへ連れていけ。さもないと警察へ行って、おまえが盗賊だと訴えてやる」
それからアリババは言いました 「ほら穴へ行く道を教えましょう。そこへ行くと、木があって、その近くに大きな岩があります。それからただ 『開け、ゴマ!』と言えば、とびらが開くのです。
外に出てきたら
『閉じろ、ゴマ!』と言うのです。ただそれだけのことですよ」

 次の日、日がのぼるとすぐ、カシムは馬に乗って出かけました。彼は、ほら穴からできるだけたくさんのお金を取ってこようと、他に8頭の馬を連れていきました。彼はすぐにその場所と岩のとびらをみつけだしました。
「開け、ゴマ!」 彼が叫ぶと、とびらが開きました。ほら穴に入ると、とびらは彼のうしろで閉まりました。彼はあたりの宝石や金の袋を見わたしました。どれを持っていったらいいのでしょうか? 彼は一番大きな袋をいくつかとびらのところまで引っ張っていきました。
「今回はもうこれ以上運べそうにもないな」 彼は8つ運んできたところでそう言いました。「さあ、急いで行かなくては。ここで盗賊どもにみつかりたくはないからな」
ところが、彼は袋の中身のことを考えすぎてしまって、とびらの開け方を忘れてしまったのです。
彼は 「開け、ゴマ!」 と言うかわりに、「開け、麦!」 と言ったので、とびらは閉まったままでした。

 それから彼は 「開け、とうもうこし!」 と、言いました、でもそれも正しくありませんでした。「開け、カラス麦!」 何ことも起りませんでした!
彼はとびらを押してみました。それから引いてみたのですが、開く気配はありません。彼がどんなに必死になっても、とびらを開ける正しい言葉を思い出すことができませんでした。

 盗賊たちがさらにもっとたくさんの袋をほら穴に置きにきたとき、彼はまだ中にいたのです。彼らはカシムの馬を見て、口ぐちに言いました、
「誰か中に入る方法を捜しだしたにちがいない。やつを逃すな!」
それから頭の男が叫びました 「開け、ゴマ!」 
とびらが開くと、カシムが走り出てきました。盗賊たちは彼に襲いかかり、それから死んだものと思って、彼をほら穴の中に残していきました。

 その晩カシムの奥さんは、アリババのところへ行って言いました、「カシムがまだ帰ってこないんです。お願いですから探してください」 そこでアリババがほら穴に行くと、ほとんど死にかけている兄をみつけました。彼をロバの背に乗せると、家に連れて帰りました。
「このことを誰にも知らせてはならないぞ」 と、アリババは言いました。

 「他の人には、カシムの具合がよくないと言っておこう。妻と私があなたの家にいって、彼の面倒をみるお手伝いをしましょう。でも、とても深い傷を負っているから、誰か助けを呼ばなくてはならないな」
カシムの奥さんに仕えているモルジアナという少女が言いました 「助けてくれる人を知っています。その人は賢い年よりの靴屋で、もう何人もの病人を治しているんです。でもその人に払うお金が少々いるんです」

 次の日の朝、日の出前でまだ町に人けのないころ、モルジアナは老人の店へ行きました。彼は、いつも朝早く仕事を始めるのでした。
モルジアナは言いました 「私の家に来てくれませんか。とても重病の人がいるんです。もし助けてくれたらこのお金をあげましょう」
「あなたの家はどこです?」 と、老人は言いました。
「それは言えません」 モルジアナは言いました。「どこにあるかを見てはいけません。目をずっとつぶっていてください、私があなたを連れていきましょう」
彼女は彼をカシムの家に、そして寝室まで連れていきました。それから
彼女は言いました 「もう目を開けてもいいですよ。この方の命をなんとか助けられませんか?」
賢者の老人はカシムをみました。彼は首を振って言いました 「この人は重体です、でもできるだけのことをやってみましょう」

 老人はカシムの傷に包帯を巻いて、特製の飲みものを作ってやり、それから何時間も見守っていました。そして言いました 「もうこれ以上、この人にしてあげられることはありません!」
そこでモルジアナは彼に言いました 「本当にいろいろとありがとうこぎいました。さあ、あなたをお店までお連れしましょう、でもここへ来たことは決して誰にも言わないでくださいね」
老人は目を閉じ、モルジアナは彼を店に連れて帰りました。2日後にカシムは死にました。モルジアナは町へとびだしていって叫びました 「ご主人様が亡くなったわ! ご主人様が亡くなった!」
誰が叫んでいるのかを見に、女の人たちが家から出てきました。そしてまた、カシムの奥さんが寝室の窓のところで泣いているのを見ました。次の日、カシムの死体は町の外へ運ばれて、埋められました。
その後アリババと奥さんは、カシムの奥さんといっしょに彼女の家で暮すことになり、アリババの息子がカシムの店で働くことになりました。

 3、4日して、盗賊たちはあのほら穴へもどりました。彼らが砦のとびらを開けると、カシムがすでにいなくなっているのがわかりました。
「誰かが連れだしたにちがいない」 彼らは言いました。「誰か1人行って、そいつを探してくるんだ、連れだしたやつは我々のほら穴のことを知っているんだからな」
「おれが行こう」 と、男たちの1人が言いました。

 彼は出かけていきました。翌朝彼は、あの老人が店をだしている通りにやってきました。老人は靴を手に持って、とびらのところにすわっていました。
「おじいさん、あんたのところに靴を買いに、たくさんのお客さんが来るかね?」 と、盗賊は言いました。
「はい」 と、老人は答えました 「それに他のことのためにもやってきますよ。えーっと、ついこの間も、刺されてほとんど死にかけていた男の命を救ってくれるよう頼まれたばかりです。でも遅すぎたんですよ──あまり充分なことをしてやれなかった」

 「なんだって!」 と、盗賊は言いました。「あんたの行った家に連れていっておくれ、そうすれば、このお金の入った袋をあげよう」
「その家がどこにあるかはわからないんですよ」 老人は答えました 「途中ずっと目をつぶっていなければなりませんでしたから。1人の少女が私を連れていったんですよ」
「それじゃあ、目をつぶってその家を探せるかどうかやってみておくれ」
盗賊は言いました。「右へ行ったか左へ行ったか、少し行ったかだいぶん行ったかはわかるだろう。さあ、手を出して、目をつぶりなさい」
こうして2人は出発し、カシムの家のところでとまりました。
「ここがたぶんその場所だと思いますよ」 と、老人は言いました。
盗賊はそのとびらに白いばつ印をつけました。それから彼は老人を店まで連れていってお金の袋を渡し、帰っていきました。

 モルジアナが買物に出かけるとき、彼女はとびらの白いばつ印をみつけました。
「誰がここにこれを書いたのかしら?」 彼女は不思議に思いました。「子どもかもしれないけれど、私はそうは思わないわ。何か気に入らないわ。なぜ私たちの家だけで、他の家にはないのかしら?」 そこで彼女は他の家のとびらにも、さらにいくつか白いばつ印をつけておいたのです。それから買物に出かけました。

 そうこうしている間に、あの盗賊はもうほら穴に帰っていました。
「あの男が住んでいる家をみつけたぞ」 彼は他の者たちに言いました。
「いっしょについてこい。おれがそこへ連れていこう」
ところが彼らがそこへ行くと、とびらに白いばつ印をつけた家があまりにたくさんあるので、彼はどの家が本当にその家なのかわからなくなってしまったのです。彼らはどうすることもできなくて、またほら穴へ帰るしかありませんでした。

 それから別の男が言いました 「おれにもやらせてくれ」
こうしてその次の日、あの老人は最初の男にしたのと同じように、その男といっしょに行きました。2人が家をみつけると、盗賊はとびらに赤いばつ印をつけました。
「他の家にはみんな白いばつ印がついている」 彼は言いました。「この家にだけ赤いばつ印がついているのだ」
モルジアナが店から帰ると、赤いばつ印をみつけました。そこで彼女は、前に白いばつ印のときにしたのと同じように、赤いばつ印を他の家のとびらにつけました。盗賊たちがふたたびやってきたとき、やはりどの家がめざす家かわかりませんでした。
「これではしょうがない!」 と、盗賊の頭は言いました。「おれ自身が行って家を探してくる!」
こうして彼は出かけていって、あの老人をみつけました。老人は他の2人の男としたのと同じようにして、彼をその家に連れていきました。彼はその家をしっかりと、念入りに見ると行ってしまいました。

 「次にどうするか考えなくてはならん」 彼はもどると盗賊たちに言いました。次の日、彼はこう言いました、
「こうしよう! おまえたちは大きなつぼをいくつか買ってくるのだ──油を入れるようなつぼをな。でもそのうちの1つだけにしか油を入れてはいかん。他のは空にしておくのだ」
「なぜです?」と、盗賊の1人が聞きました。
「つぼを馬の背に乗せたら、おまえたちはそのつぼの中に隠れるんだ。おれが馬をアリババの家に連れていこう。おれはやつに、遠くからやってきたので、一晩泊めてもらいたいと頼むのさ」
「おれたちはどうなるんですか?」 と、男たちは言いました。
「つぼの中に入ったままでいるんだ。つぼは大きいから充分中に余裕はあるだろう。時がくればどうするか教えてやるさ」

 ことはすべて、盗賊の頭が望んだとおりに運びました。アリババは、一晩泊まってもよいと言ってくれたのです。
アリババは、馬の背からつぼをおろすのを手伝いました。それから言いました 「さあ、中に入ってたっぷり食事をとってください」
盗賊はたっぷりと食べて飲んだあと、こう言いました 「ちょっと行って、馬に水をやってこなければなりません」
彼は馬小屋にいる間、1つ1つのつぼのところに行って、中にいる男たちに話しかけました、
「おれが窓から鳥のような声を出したら、つぼから出るんだ。おれがおりていってどうしたらいいか教えてやる」 と、彼は言いました。それから家の中にもどっていきました。

 モルジアナが夜のための火をおこしにいくと、彼女のランプが消えてしまい、自分が何をしているのか見えなくなってしまいました。
「朝になったらもっと油を買わなくちゃ」 彼女は言いました 「でも今夜はこのつぼのうちの1つから少しもらっておきましょう」
彼女が1番目のつぼのところへ行くと、中にいた男はそれが盗賊の頭だと思って、「時間ですか?」 と、聞きました。
これには彼女はとびあがっておどろきましたが、すぐに低い声で返事をしました、
「まだだ。もうすぐだぞ……」
彼女は次のつぼへ、そしてまたその次のつぼへ行きました。そのたびに中の男は 「時間ですか?」 と、言いました。そしてモルジアナは 「まだだ。もうすぐだぞ!」 と、答えたのです。
一番最後のつぼには油が入っていたので、彼女はそれを少し自分のランプの中に入れました。それから油をさらに取りだして、それを熱し、その熱くなっている油をつぼの1つ1つに入れていきました。それが盗賊たちの最期でした!

 盗賊の頭が夜おりてくると、彼は、自分の手下たちがみんな死んでいるのをみつけました。そこで彼は馬にとびのると、急いで走りさっていきました。
翌朝、モルジアナはアリババに何が起ったかを話し、とびらのばつ印のことも話しました。彼はモルジアナに礼を言って、彼女のしたことは決して忘れないと言いました。
それから彼は召使たちに言って、森の中に大きな穴を掘ってもらいました。その晩、みんなで死んだ盗賊たちをその中に入れました。

 盗賊の頭は今ではたった1人になってしまいました。そこで彼はこう言いました 「店をひとつ買おう。そこにほら穴の中にある絹や宝石を置くんだ。それらを売れば、いい暮しができるだろう」
彼はそのとおりにし、誰もがそれをすばらしい店だと言いました。

 ある日、アリババの息子が盗賊の頭に会いました。2人の店は、おたがいに近いところにあったのです。彼は盗賊に、食事をしに家に来るように言いました。
アリババは盗賊の頭がどんな顔をしていたか覚えていませんでしたが、モルジアナは彼を見てこう考えました 「あの男は前に一度、ここに来たことがあるわ。きっと何か悪事をたくらんでいるのね。彼を止めなくては」
そこで彼女はアリババに言いました、
「夕食がすんだら、私も中に入ってあなた方のために踊ってもいいでしょうか?」 アリババはそうしてもよいと言いました、それで食事がすむとモルジアナは部屋に入ってきて踊りだしました。
モルジアナは踊り終ると、お金を入れてもらうようカップをさしだしながら、部屋をまわりました。アリババはいくらか彼女にお金を与え、彼の息子もそうしました。それから彼女は盗賊の頭のところにやってきました。
彼がお金をいくらかカップに入れたとき、彼女は、彼が服の下にナイフを隠しているのをみつけました。

  盗賊の頭が彼女を止めるより早く、彼女はナイフを取りあげるとそれで彼を殺してしまいました。
「なんてことをしたんだ?」 と、アリババがとびあがって叫びました。
「もし私がこうしなかったら、彼があなたを殺していたでしょう。この男は、油のつぼを持ってここにやってきた盗賊の頭です」 と、モルジアナは答えました。
アリババは、モルジアナが正しかったことがわかりました。

 「おまえはかしこい娘だ」 彼は言いました。「おまえがたいそう気に入ったので、もし私の息子と結婚してくれたらうれしいよ」
こうしてモルジアナとアリババの息子は結婚しました。彼らはお金が必要なときには、ほら穴に行って盗賊の宝物を使いました。でも、もちろん、そのほとんどが貧しい人びとのところへ行くようにしたのです。こうして、盗賊たちを除いて、みんなにとって何もかもめでたくおさまりました !


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