レディバードブックス100点セット
 

 

秘密の花園

 メアリ・レノックスはわがままで、お行儀の悪い、ひねくれた子どもでした。彼女は体の具合がずっと悪く、みじめにやせこけ、いつも不機嫌な顔をしていました。彼女は誰にも好かれていませんでした。
でもこれは決してメアリのせいではありませんでした。彼女は父親が働いているインドで生れました。彼はいつも仕事で忙しく、自分の娘にまるで無関心でした。彼女の母はたいへんな美人でしたが、パーティーと自分の楽しみしか考えない人でした。彼女はメアリをインド人の召使にまかせて出かけていき、召使はこの小さな少女に、泣いたり母親を困らせたりしないように、メアリのほしがるものは何でもあたえていました。それで当然メアリは、わがままでとてもいやな子どもに育ってしまったのです。
メアリが9歳のある暑い朝、彼女は何かがおかしいという気がしました。彼女は部屋の中にいて、叫び声や泣き声や、急ぐバタバタという足音をきくのですが、誰も彼女のところへは来てくれないのでした。彼女はベッドに横たわり、眠りこんでしまいました。

 目が覚めたとき、家の中はしんとしていました。そしてやはり誰も彼女のところには来てくれませんでした、彼女は自分が忘れられていることに腹を立てました。突然ドアが開き、2人のイギリス人が入ってきました。
「どうして私を放っておくの」 メアリは足を踏みならして言いました。
「どうして誰も来てくれないの」
「かわいそうな子だ」 と、1人の男の人が言いました。「来てくれる人はもう誰もいないんだよ」
こうしてメアリは、自分の父と母が亡くなったことを知りました。彼らはこの国一帯に流行していた病気によって死亡したのでした。召使たちも大半この病気で死に、生き残った者もどこかへ逃げ去っていました。メアリはまったくひとりぼっちでした。インドには彼女の面倒をみてくれる人はいなかったので、イギリスに送られて、ヨークシャーのミスルスワイト・メノアに住んでいる彼女のおじのクレーブン氏と住むことになりました。
ロンドンでメアリは、おじの家政婦であるメドロック夫人に会いました。メアリはすぐに彼女がきらいになりました。しかしそのとき、メアリは誰もがきらいでした。メドロック夫人はメアリのことを、器量の悪い無作法な子どもだと思いました──まったくメアリはそのとおりの女の子でした。ロンドンから北へ向かって旅行していくとき、メドロック夫人は、お屋敷のことについて話しました。立派だけれども陰気で、荒れ野の崖っぷちに立っているということでした。
「何もすることはないかもしれないけど、おじさんはあなたの邪庭はしませんよ」 と、メドロック夫人は言いました。「旦那様はせむし男でね。結婚するまでは気むずかしいお人でしたよ。奥様がとても美しい人で、旦那様はそれは崇拝していらしたわ。でも、奥様が亡くなってしまうと、前よりもっと気むずかしくなられて。あの方は1日じゅうほとんど出かけていらっしゃるから、あなたは自分のことは自分でしなければなりませんよ」
2人が列車からおりたとき、もうあたりは暗くなっていました。二輪馬車が2人をお屋敷まで連れていってくれましたが、雨のために暗くて、メアリには外の景色は何も見えませんでした。
「荒れ野ってどうなっているの」 と、彼女はたずねました。

 「はるかかなたまで、何も生えない土地のことですよ」 メドロック夫人は答えました。「ハリエニシダやエリカの他は何も生えやしないし、野生馬と羊の他、生きものはいないところですよ」
ついに、馬車はお屋敷の中庭で止まりました。大きなカシの木のドアが執事によって開けられました。「この子を部屋へ連れていっておくれ」 彼はメドロック夫人に言いました。「旦那様は明日ロンドンへ出発なさる。この子には会いたくないんだそうだ」
メアリはメドロック夫人の後について2階へ上り、たくさんの廊下を通って、火が燃え、テーブルの上に夕食が用意してある部屋に着きました。
「これが、あなたのこれから住む部屋ですよ」メドロック夫人はメアリに言いました。「ちょっと見て、ここにおとなしくしているんですよ。他の部屋へぶらぶら遊びにいってはだめですよ」 これがメアリへの、ミスルスワイト・メノアでの歓迎でした。これは彼女を不機嫌にさせ、疎外されたようなさびしさを感じさせました。

 次の朝メアリが目を覚ますと、1人の女中が暖炉の火をともしているのに気がつきました。彼女はマーサと呼ばれていて、働きながら、笑ったりおしゃべりをする女中でした。
メアリは気さくな女中に慣れていませんでした。インドでは、彼女は決して 「どうぞ」 とか 「ありがとう」 と言ったことはなく、一度怒ったときなど、乳母の顔をたたいたことさえありました。しかしなんとか彼女は、マーサをこのようにあつかってはいけないと知りました。初めメアリは、マーサのおしゃべりに興味をもちませんでしたが、少しずつマーサの人なつこいヨークシャーのなまりに耳をかたむけるようになりました。

 「そうだわ。荒れ野の小さな小屋にいる私の兄弟に会ってくださいよ」 マーサは言いました。「12人もいてね。お父さんが1週間に16シリングしかかせげないんですよ。お母さんも子どもたちを食べさせるために仕事をもっています。荒れ野の新鮮な空気は子どもたちを強く健康にさせるんですよ。私たちのディコンは12歳だけれど、いつも荒れ野に出ていくんです。動物にやさしくてね。野生の馬を慣らしているんですよ」
マーサが部屋を出ていくと、メアリは外へ遊びにでてみました。

 「外に出てお庭を見てごらんなさい」 と、マーサは言いました。「あまり今は生えてないけど、夏はすばらしいんですよ」 彼女は少し口を閉じてから、そっとこう言いました 「ひとつ、奥様が亡くなって10年、ずっと閉められているお庭があるんですよ。旦那様はドアに鍵を閉めて、鍵を埋めてしまったんです。そのお庭がおきらいなんです」
ミスルスワイト・メノアの敷地は広いものでした。そのなかでたくさんの庭ができるように、高い塀で区切られていました。ある庭には花や木や噴水がありました。ある庭には野菜が育っていました。ドアがあって、1つの庭から次の庭へと行くことができましたが、どの庭も殺風景で荒涼としていました。
しばらくして、1人の老人が緑のドアの1つを通ってやってきました。彼はメアリのように意地悪そうに見えました。
「あのドアを通っていってもいい?」 と、メアリはたずねました。
「そうしたいならね」 老人は答えました。「見るものは何もないよ」
メアリは閉じられた庭のドアをみつけたいと思っていました。たくさんのドアを試してみたのですが、みんな簡単に開いてしまいました。1つもドアがついていないような、ツタの葉でおおわれた壁が1つありました。
メアリには壁のうしろに木が見えました。1羽のコマドリが高い梢の上でさえずりだしました。彼女は立ち止まって耳をすましました、その陽気な鳴き声をきくと、彼女のさびしそうな顔に少し笑みが浮かんできました。
彼女は、ぶらぶらとさっきの老人のところにもどってきました。老人はメアリに気をとめずに、穴を掘り続けていました。
ついに彼女は言いました 「向うにドアのない庭があるわ」
「どの庭のことだい?」 老人は、ぶっきらぼうにたずねました。
「あの壁の反対側の庭よ」 彼女は答えました。「そこの木の上で、コマドリが鳴いていたわ」

 老人は立ちあがると、満面に笑みをうかべました。メアリは、老人は笑ったときのほうがずっとすてきだわ、と思いました。彼はとても柔らかく口笛を吹きました。壁を越えてコマドリが飛んできて、老人の足もとに止まりました。
「さあ来た」 彼は静かに言いました。「わしが口笛を吹くといつもちゃんと来るのさ。すごいやつだと思わないかね。みろ、こいつはわしたちが自分のことを話しているって知っているんだ」 ふっくらして、真っ赤な胸をしたそのコマドリは飛びはねて、土の上をつつきました。庭師のベン・ウェザースタッフは穴を掘り続けました。「こいつは、わしのたった1人の友だちさ」 彼は言いました。「こいつがいっしょにいないとさびしいんだ」
「私もさびしいの」 と、メアリは言いました。「私も今まで1人も友だちがいなかったのよ」
ベンは手を休めて彼女を見ました。「わしたちはとてもよく似ているようだな」 彼は言いました。「見た目は悪いし、見たとおりのひねくれ者だしな」
メアリは自分の意地の悪そうな顔や、ひねくれた性格のことを今まで一度も考えたことがありませんでした。今あらためて考えてみると、とても不愉快になりました。ちょうどそのときコマドリは木へ飛んでいき、声のかぎりにさえずりました。
「あいつ、おまえさんが気に入ったようだな」 と、ベンは言いました。
「きっと友だちになりたいんだよ」
メアリはコマドリを見上げました。「私と友だちになりたいの」 彼女はたずねました。彼女はいつものかたい、かぼそい声でなく、柔らかい、やさしい声でそう言いました。

 「おや」 と、ベンは言いました 「きついおばあさんのようでなく、本当の子どものように言ったね。荒れ野の野生の動物に話すときのディコンみたいだったよ」
コマドリは壁を越えて飛んでいきました。
「あの庭にはドアがあるに違いないわ」 と、メアリは言いました。
「いや、今はみつかっていないのさ」 ペンはさえぎって言いました。「おまえさんに関係のないことに首をつっこむのはよしな」 そう言うと、彼はさよならも言わずに立ち去っていきました。

 メアリはほとんどの日を外ですごしました。彼女が暖まるために走ると、冷たい風でそのほおは、ピンク色の輝きに染まるのでした。毎晩彼女は空腹を感じ、たくさん食べました。夕食後、彼女は好んで暖炉のそばにすわり、マーサに話しかけました。
「なぜクレーブンさんは鏡のかかった庭がおきらいなの」 メアリはある晩、そうたずねました。
「奥様のお庭だったからですよ。奥様がその庭をとても気に入っていたんです」マーサは言いました。「奥様が木の梢にすわっていたらそれが折れて下に落ちてしまったんです。ひどくけがをして、亡くなってしまったんです。それで旦那様はあの庭がおきらいなんです。誰にもあの庭について話させたがらないんですよ」

 メアリは今まで誰かのことを、かわいそうだと思ったことはありませんでしたが、今は、クレーブン氏がどんなに不幸せかということがわかるのでした。風は荒れ野の上を横切り、屋敷のまわりでうなったりとどろいたりしました。マーサはそれを 「ウザリン」 と呼んでいました。メアリがその音に耳をかたむけると、その中に子どもの泣き声がきこえたような気がしました。
「そんなことありませんよ」 メアリがたずねるとマーサは答えました。
「ただの風か、台所の女中の声ですよ。歯がいたくて1日じゅう泣いているんですよ」 そう言うと、マーサは急いで部屋を出ていきました。
次の日はどしゃぶりの雨でした。
「こんな日、家ではね」 マーサは言いました 「みんなそれぞれ家の中で、好きなことをしているんですよ。ディコンは違うけど。あの子はどんな天気でも外に出ていくんです。半分おぼれかけていたキツネの子どもをみつけて、家に連れてきたこともありましたよ。スートゥというカラスも飼っているんです」

 ひとりになるとメアリは、屋敷の中を探索することに決めました。彼女は廊下が続いている方に歩いていき、階段をのぼったりおりたりしました。
その静けさの中でふたたび子どもの泣く、かすかな声をきいたのです。 
彼女が立ち止まってドアのところで耳をすますと、別のドアが開きメドロック夫人がやってきました。「こんなところで何をしてるの」夫人は問いつめました。「すぐに自分の部屋におもどりなさい」

 メアリは怒っていました。泣き声がきこえたことはわかっていたのです、彼女はそれが何であるのか明らかにしようと決心しました。
嵐は去っていきました。「金色のハリエニシダとエリカの上に陽があたるまで待たなくちゃだめですよ」 と、マーサは言いました。
「私、荒れ野の上の、あなたの住んでいる小屋とお母さんを見たいわ」 メアリは言いました。
「おじょうさん、お母さんのことが好きになりますよ」 マーサは答えました。「やさしくってとてもよく働くんですよ。仕事がなくてお母さんに会いに家に帰ると、うれしくてとびあがりたいくらいですよ」
「ディコンにも会いたいわ」 と、メアリは言いました。
「ええ、きっとおじようさん、ディコンを好きになりますよ」 マーサは言いました。「みんなディコンのことが好きなんですよ」
「誰も私のことを好きにならないわ」 と、メアリは悲しそうに言いました。

 「そう、それはきっとおじようさんが、他の人を好きにならないからですよ」 マーサはにっこり笑いました。
「そんなこと考えたこともないわ」 と、メアリは答えました。
メアリはペンが庭で穴を掘っているのをみつけました。
「春が来るのさ」 彼は言いました。「草花は土の下で動いているのさ。もうすぐクロッカスやスイセンが見られるよ」
コマドリが飛んできました。コマドリがツタでおおわれた壁の上の止まり木へ行くのをメアリが追っていくと、コマドリは土の上におりて、チョンチョンと飛びはねました。メアリが、はうようにしてコマドリの方へ近づいていくと、コマドリは彼女に話しかけているように、チチチとさえずりました。今やメアリは、とてもコマドリに近づき、とてもうれしかったので息もできないくらいでした。コマドリは虫をさがして土をつつきました、そしてそのとき思いがけなく、メアリは土の中にさびついた鍵を見たのです。
「きっとあの秘密の花園の鍵に違いないわ」 と、彼女は考えました。彼女は鍵をポケットの中にすべりこませ、家の中に走っていきました。
夕食後、マーサは自分の家の1日についてメアリに話しました。「お母さんがね、おじょうさんはこのお屋敷の中ではさびしいだろうって言うんですよ。おじようさんを元気づけるためにってプレゼントをくれたんですよ」
とマーサは言って、持つところがしま模様になった、なわとびのなわをさしだして、どのようにとぶのかメアリにやってみせてくれました。

 「あなたのおかあさん、本当にやさしいのね」 そうメアリは言ってから、マーサのおかあさんが、このなわを買うのにどうやってお金を出したのかしら、と不思議に思いました。今やメアリは、どこへ行くにもこのなわとびでスキップしていくようになりました、そしてなわとびを使えば使うほどメアリはじょうぶになっていきました。

 ある朝、コマドリが壁の上の止まり木から彼女を見おろしていました。突然魔法のようなことが起ったのです! ひと吹きの風が壁の上のツタの葉を吹きはらい、その葉の下に、メアリはドアをみつけたのです。彼女はポケットの鍵にさわり、鍵穴の中に入れてみました。とても固かったのですが、ぐるりと回すことができました。次の瞬間、彼女は秘密の花園にいたのでした。中を見まわして、彼女の心はおどりました。庭の草花はのびほうだいで雑然としていましたが、一番すてきな場所だ、とメアリは思いました。彼女は土の中から緑の球根の芽がつきだしているのを見、クロッカスとマツユキソウに場所をあけるために雑草をぬきとりました。彼女は朽ちた葉や草を取り除いて、きれいにしました。時間はまたたく間にすぎていきました。
夕食のとき、メアリはどれほど自分の秘密をマーサに打ちあけたかったか知れません。でも、ふたたび秘密の花園に行くのを禁じられた場合のことを考えて、あえてそうはしませんでした。そのかわり彼女はこう言いました 「たくさん草花を育てられるようなお庭が、少しでももてたらいいんだけれど」
「よい考えですよ」 マーサは答えました。「ディコンに庭いじりの道具と植える種を持ってくるようにさせるわ」

 メアリは毎日秘密の花園で働きました。すべてのものが育ちはじめていました。メアリは、ベン・ウェザースタッフに自分がどこに行くか見られないようにと気をつけました。ある日彼はメアリにこう言いました 「この新鮮な空気はおまえさんにとてもいいようだな。おまえさんは太ったし黄色くなくなったよ。最初おまえさんがここに来たときは、ヒナのヤセガラスみたいだったものな」
メアリは笑いました。メアリは今ではベンのことが好きでした、彼の機嫌の悪い日でさえ。
ある日彼女は1人の少年が木の下にすわっているのを見ました。2匹のウサギと1匹のキジが彼の近くにより、リスが彼の頭上の木の幹にはりついていました。動物たちは、少年が笛でかなでる音色に聞き入っていたのでした。彼は動物たちをこわがらせないように、ゆっくりと立ち上がりました。ふっくらしたバラ色の彼の顔の青い瞳から笑みがこぼれました。「ぼくはディコン」 彼は言いました。「庭いじりの道具と花の種を持ってきてあげたよ」
彼のほほえみがとてもやさしく、親しみがこもっていたので、メアリははにかむことを忘れていました。彼女はもし動物が彼を信頼しているなら、自分も彼を信頼できるだろうと思いました。しばらくして彼女はたずねました。「秘密の花園って知っている?」
「きいたことはあるよ」 ディコンは答えました 「でも、どこにあるかは知らないけど」

 誰も見ていないことを確かめてから、メアリは彼を壁についているドアへと連れていきました。ディコンはおどろきました。彼はすべての草花と木々を見まわしました。「これはみんな育つよ」 彼は言いました。「いたるところ、花とバラだらけになるんだよ。あと2、3週間もすれば草の芽がでてくるよ」
彼らは、いっしょに雑草を取ったり刈ったりしました。メアリはディコンのような少年に会うのは始めてだ、と感じていました。ディコンやマーサのような、暖かいヨークシャーのなまりで言ってみようと、彼女はたずねました 「あなた、私のこと好き?」
「うん!」 彼は笑いました 「ぼくもそうだし、あのコマドリもそうだよ」
食事の後、メドロック夫人が来て、メアリをクレーブン氏に会わせるために連れていきました。「旦那様は明日ご出張になるので、まずあなたに会っておきたいそうですよ」 と、彼女は言いました。
メアリは少しこわかったし、とてもまごまごして、固くなってしまいました。でもクレーブン氏は少しもこわくなかったし、彼の背中は全然曲がってもいませんでした。彼の顔は整っていましたが、心配と悲しみに満ちているように見えました。彼はメアリに、何かほしいものがないかとたずねました。メアリは自分の花が育てられるような、ちょっとした庭がほしい、と頼みました。
「もちろんいいさ」 メアリのおじは言いました。「使っていないところならどこでも使っていいよ」 メアリには、どの庭がその庭であるのかわかっていました。彼女はあの秘密の花園を自分のものと呼べるのです!

 その夜、メアリははげしい雨の音と風のうなりで目を覚しました。彼女は悪い天気が自分を部屋にとじこめているのに腹を立てていました。彼女は眠れませんでした。ベッドの上で寝返りをうっていると、またあの泣き声がきこえました。「あれは、ぜったい風なんかじゃないわ」 彼女はささやきました。「メドロック夫人の言ったことなんて気にしないわ、つきとめてみよう」
手にろうそく台を持って、彼女は廊下伝いにそっと歩いていきました。彼女はあるドアの下で明りがこうこうともれているのを見ました。彼女はそのドアを押して開き、そこで4つ柱のベッドに寝た少年がしくしく泣いているのを見ました。

 少年は突然ふり返って泣くのをやめました。「きみは幽霊?」 彼はこわがってききました。
「いいえ、わたしはメアリ・レノックスよ」 メアリは答えました。「あなたは誰?」
「ぼくはクレーブンの息子、コリンさ」 と、少年は言いました。
「じゃあ、私はあなたのいとこになるわけだわ」 メアリは続けて言いました。「私がここに住むためにきたって、誰もあなたに話さなかったの?」
「うん、何も話そうとしないさ」 コリンは答えました。「きみがぼくを見ないかって恐れていたんだ。ぼくの父は、他の人にぼくを見せようとしないんだ。父は、ぼくが大きくなってせむしになるだろうと恐れている。ぼくはいつも病気で、ここに寝ているんだ。ぼくの父は、ぼくが生れたときに母が死んだからぼくを憎んでいるのさ」

 「いつもここにいるの?」 と、メアリはたずねました。
「ほとんどいつもさ」 コリンは答えました。「外に出れば、みんながぼくをじっと見る、そんなこと耐えられないよ」
「人に見られたくないっていうのなら、私も出ていきましょうか」 と、メアリはたずねました。
「ううん」 コリンはすぐ答えました。「ここにいて、ぼくと話してよ」

 2人は長いこと話していました。メアリはコリンがどれほどみじめな気持でいるかを知りました。彼は自分が決してよくならないだろうと思っているのでした。
「召使はみんな、ぼくのご機嫌をとらなくちゃならないのさ」 コリンは彼女に言いました。「怒るのは体によくないんだ。みんなもぼくの言うことをきかなくちゃいけないのさ」
彼はメアリの年をききました。
「私は10歳、あなたと同じよ」 彼女は彼に言いました。
「どうしてぼくが10歳だってわかったの」 と、彼はたずねました。
「だって、あの庭が10年前に閉じられて、そのときあなたが生れたからよ」
と、メアリは答えました。
「どの庭だって?」 コリンはたずねました。
「クレーブンさんがきらっている庭のことよ」 メアリは答えました。「彼はドアを閉じて、庭の鍵を埋めてしまったのよ」
「どんな庭なの」 コリンはさらにたずねました。
「10年間、誰も見るのを許されていないのよ」 メアリは答えました。彼女はもう自分がその庭をみつけていることを、彼にさとられないよう気をつけました。2人はその庭の中にあるかもしれない、興奮するようなことについてたくさん話しました。

 「召使たちにドアを開けさせるようにするよ」 と、コリンは言いました。
「だめよ」 メアリは叫びました。「このことは秘密にしましょう。あの人たちがドアを開けたら、もう秘密ではなくなってしまうわ。きっと、いつか私たちはドアをみつけるわ。中に入って、私たち以外、誰もそのことを知らないようになるわよ」
「そうなるといいな」 コリンは言いました。「ぼく今までに秘密を持ったことってないんだ」しゃべることに疲れて、コリンは眠りにおち、メアリはそっと部屋から出ていきました。

 次の朝メアリはマーサに、昨日の泣き声のことと、どのようにして彼女がコリンをみつけたかを話しました。かわいそうなマーサはとてもびっくりしてしまいました。彼女は、メアリにこの屋敷の若主人をみつけるのを許したことで、仕事を失ってしまうのではないかと考えました。
「心配することはないのよ」 メアリは彼女に言いました。「コリンは喜んでいたし、私に毎日会いたがっているわ」
「おじょうさんは、おぼっちゃんに魔法をかけたに違いないわ」 マーサは叫びました。

 「コリンはどこが悪いの?」 メアリはたずねました。マーサは、彼が生れたときから、歩くのを許されていないことを話しました。彼の父は彼の背中が弱いのだと思っていたのでした。ある有名な医者が彼をみにきて、もしつまらぬことを気にしないようにすれば、じょうぶになるだろうと言いました。

 「コリンは自分が死ぬんじゃないかと思っているんだわ」 メアリは言いました。「あなた、そう思わない?」
「私のママは、もし子どもが外に出て新鮮な空気にふれることができないんだったら、生きる意味がないって言っていますけど」 マーサは答えました。
「外に出ることは、私にとってよかったわ」 と、メアリは言いました。
「コリンにもいいと思わない」
「私にはわかりません」 マーサは言いました。「以前、ぼっちゃんが庭に連れてこられたとき、ひどいかんしゃくをおこしたんですよ。庭師の1人が自分を見ているんじゃないかと思って、ぼっちゃんは怒ったんですよ。とてもどなられたので、一晩じゅう、具合を悪くしてしまったんですよ」
「そう」 メアリは言いました 「もし、私にもかんしゃくをおこしたら、もう彼に会いにはいかないわ」
メアリが、次にコリンに会いにいったとき、メアリは彼に、ディコンのことについて話しました。
「ディコンって世界じゅうの誰にも似ていないのよ」 彼女は言いました。
「彼は荒れ野で動物を手なづけられるの。笛をふくと、動物たちがききにやってくるのよ」
「荒れ野ってすばらしいところのようだね」 コリンは言いました 「でも、ぼくは決して見れないだろう。ぼくは死ぬんだもの」
「どうしてわかるの」 メアリは少し不機嫌になってたずねました。コリンが死について話すのが、まるで気分のいいことのように話したからです。
「みんな、ぼくが死ぬって言っているよ」 コリンは答えました。「お父さんはぼくがここからいなくなれば、さぞかし喜ぶだろうさ」

 「そんなこと信じられないわ」 メアリは言いました。「あの有名なお医者さまは正しかったわ。みんなは、あなたにつまらないことを気にしないようにさせて、外に出すべきなのよ。そう! もしディコンを見たら、よくなりたいと思うわよ」 そして彼女は、とても貧乏だけれど、元気で幸せなディコンの家族についてすべて話しました。
雨は1週間ふり続いたので、メアリはあの庭に行くことができませんでした。そのかわり彼女はコリンと毎日すごしました。2人は本を読んだり、話したりし、初めてコリンは笑いはじめました。しばしば彼は庭のこと、そしてその中に何があるかについて話しました。メアリは彼とどんなに自分の秘密を分かちあいたかったか知れません。しかし、彼女はまだ彼のことは信用できないと感じていました。
雨がやんだ朝、メアリは早く目がさめ、太陽の光がブラインドを通してさしこんでいるのに気づきました。彼女が秘密の花園に走っていったとき、彼女はディコンがもうすでにそこにいるのをみつけました。
「ぼく、こんな朝にベッドで寝ているなんて、できないんだ」 彼は叫びました。「あの庭を見てごらんよ」 雨と暖かい空気が、土からすべての新しい芽を押しだしていました。オレンジの木立と紫のクロッカスがありました。メアリは幸せで息もつけないほどでした。コマドリが巣を作っていました。
「ぼくたちは、あまり近くによってみちゃだめだよ」 ディコンは注意しました。「なにしろ今、飛んだりおしゃべりするのに夢中だからね」

 メアリがディコンに会ってから、まる1週間がすぎていました。彼女はコリンをみつけたことについて話しました。
「もしぼくたちが、彼を外に出してここに連れてこれたら」 ディコンは言いました 「彼は背中にできているこぶのことなんて忘れてしまうよ。春になれば、2人の男の子と1人の小さな女の子がこの庭をながめているだろうな。ぼくが彼のイスを押すことができるし。彼にとっては医者の薬よりいいにきまっているよ」
メアリがその日の終りに屋敷に入っていくと、マーサがこう言いました、コリンはメアリが会いにこなかったので怒っている、と。
「もしきみがぼくのかわりにあの少年といるのなら、彼を来させないよ」
コリンは、メアリが彼を見たとき、カンカンに怒っていました。「きみは自分勝手だ、会いにきてくれないなんて!」

 「あなたは一体誰なの」 メアリはするどく言いました。「あなたこそ私の知っているかぎり、一番自分勝手な人よ」
「よし、じゃぼくは死んでやるぞ」 コリンは泣き叫びました。
「そんなこと信じないわ」 メアリは意地悪く言いました。「あなたはただ、あなたのことをかわいそうに思ってくれる人がほしいだけなのよ。でも彼らはそうしないのよ。あなたはお行儀が悪すぎるもの!」 彼女はドアへどんどん進んでいき、ふり返って言いました 「私はあなたにディコンと彼のキツネとカラスのことを話すつもりだったわ。でももうそんなことしない」
そして彼女は、後ろでパタンと強くドアをしめてしまいました。
自分の部屋で、彼女はコリンの孤独な1日を考えていました。彼女の怒りはうすらぎ、コリンのことがかわいそうになってきました。「明日彼が私に会いたいって言ったら」 彼女は考えました 「行って会ってこよう」
その夜メアリは廊下で鳴った音で目を覚し、すすり泣きと金切り声をききました。「あれはコリンがかんしゃくをおこしているんだわ」 と、彼女は思いました。彼女は耳をふさぎましたが、恐ろしい音をしめだすことはできませんでした。

 彼女がベッドからとび起きて、怒って足を踏みならしました。「誰かが彼をやめさせなくちゃ」 彼女は叫びました。「あんなに自分勝手なんだから、たたかれても仕方ないわ。この家の誰に対してもかんしゃくを起すんだわ」 彼女はコリンの部屋に走っていって叫びました「やめなさい。あなたなんかきらいよ。泣きわめいてすぐ死んじゃいなさい、そしたらせいせいするわ」
コリンはびくっとしました。彼の顔はふくらんであえぎ、むせていましたが、メアリは頭に血がのぼっていたので気にとめませんでした。「もう一度わめいたらね、私はもっと大きな声でわめいてあげるわよ」 彼女はどなって言いました。
「やめられないよ」 コリンはすすり泣きました。「僕の背中で、こぶが大きくなるのがわかるんだもの」
「うしろを向いて見せてごらんなさい」 メアリはするどく言いました。彼女はコリンの哀れなかぼそい背中を注意深く観察しました。「ピンほどのこぶもないじゃないの」 彼女は言い放ちました。「今度そんなこと言ったら承知しないから」

 コリンのすすり泣きはしだいにやみ、メアリは静かに彼のベッドのそばにすわって彼が眠ってしまうまでなだめました。
朝になるとメアリは、ディコンがリスたちといっしょに庭にいるのをみつけました、そして彼女は昨晩コリンがすすり泣いていたことを話しました。「うん、彼をここに連れださなくちゃいけないよ、かわいそうなやつだ」 彼は言いました。
「そう、そうすべきだわ」 メアリも同じヨークシャーなまりを使って言いました。
ディコンは笑いました。「きみは、コリンに少しヨークシャー言葉を話してあげなくちゃいけないよ」 彼は言いました。「そうしたら彼は笑う、ぼくのお母さんは、笑うのは病人にいいと言っているよ」
メアリがコリンのところへやってきたとき、彼女はディコンとリスのナットとシェルの、朝のニュースを彼に話しました。2人は笑い、長いこと話がはずみました。
そのときコリンが言いました。「ディコンをどこかへやってしまうなんて言ってごめんね。そんなつもりじゃなかったんだ。彼はすばらしい少年だね」
「そう言ってくれてうれしいわ」 メアリは言いました 「だってディコンはあなたに会いにきてくれるの、動物を連れてね」
コリンは元気がでてきました。彼がとても幸せそうに見えたので、急にメアリは、試しに彼を信用してみようと決心しました。「でもそれが全部じゃないの」 彼女は続けました。「もっといいことがあるの。私、あの花園のドアをみつけたのよ」

 コリンは大喜びでした。「それなら入って、中に何があるか見てみようよ」 彼は提案しました。
メアリは少しだまっていましたが思いきって真実を話しました。「私、もうその中に入ったの。だから私、あの花園についてこんなに話せるのよ。私はあなたが信用できるとわかるまで、私の秘密を話さなかったのよ」
朝食のときに、コリンは彼の世話をする女中にこう言いました 「1人の少年と動物たちがぼくに会いにくることになっているんだ。もし来たら、まっすぐぼくのとこうへ連れてきてくれ」
まもなくメアリはメーという鳴き声をききました。「あればディコンの羊よ」 彼女は叫びました。「来たのよ」

 ディコンはニコニコしながら入ってきました。彼は羊を手にかかえ、小さな赤ギツネが彼のそばをよたよた歩いてきました。リスのナットは片方の肩に、そしてカラスがもう片方の肩にすわっていました。もう1匹のリス、シェルはポケットから顔をのぞかせていました。
コリンは不思議そうにみつめていました。ディコンはやさしくコリンのひざの上に羊をのせ、羊に飲ませるミルクびんを彼に渡しました。彼らはみな、せかせか忙しく、幸せでした。ディコンはおしゃべりの種のつきない少年でした。
「ぼく全部見てやるよ」 コリンは叫びました。
「そうよ。そうしなきゃいけないわ」 メアリも言いました 「のんびりしている時間なんてないのよ」
コリンは車イスにのせてもらい、ディコンに通り道を押していってもらいました。歩きながらメアリは、コリンに通りすぎる場所について説明しました。「私がベンに会ったのはここよ」 彼女は言いました 「そして、私がコマドリを見たのがここ」 「そしてこれが……」 彼女は声をひそめました 「これがその花園なのよ」
メアリがドアを開け、ディコンがすばやくイスを押して入りました。コリンはしばらくの間あたりを見まわし、メアリの言っていたすべてのものをながめました。そして彼は大きな声で言ったのです。「ぼくはよくなる。ずっとずっと生きるんだ」 その日の午後、コリンには全世界が変ったのです。
「すばらしい日だった」 と、ディコンが言いました。
「本当に」 メアリもそう答えました。

 「こう思わない?」 コリンはききました 「これはみんなぼくのために作られたんじゃないかって?」
「まねしたわね」 メアリが言いました 「なかなかうまいヨークシャーなまりよ」 そして3人はいっしょに笑いあいました。
「今日という日がすぎてしまうなんていやだ」 コリンは言いました 「でも毎日またこよう」
「きっとそうするよ」 ディコンは言いました 「そしてすぐに、きみにも穴堀りをしたり歩いたりさせてあげるよ」
突然ベン・ウェザースタッフの顔が壁のてっぺんからのぞき、彼らをにらみおろしました。「そこでおまえさんは何をやっているんだ」 彼はメアリに向かってどなりました。そして彼はコリンを見ると、おどろきで口がふさがりませんでした。
「ぼくが誰かわかるかい」 と、コリンはたずねました。
「ええ、わかりますだよ」 ベンは答えました。「おまえ様はあのかわいそうな足の悪いおぼっちゃんで」

 コリンは怒って立ち上がりました。「ぼくは足なんて悪くない。みせてやる」 彼は叫びました。ディコンの助けを借りて彼はイスからもがくようにして離れて、まっすぐ立ち上がったので背が急に高くなりました。「さあ、ぼくをよく見ろ」 彼は叫びました。
「神のお恵みあれ、ぼっちゃんよ」 ベンはほほえみ、涙が彼のほおをつたっていきました。
コリンは立ったままでいました。彼は突然自分の恐怖心が自分から去っていくように感じました。「ぼくはもうこわくないよ」 彼は叫びました。
「これは秘密の花園の魔法さ。今もすべての草花を育てるために働いているし、ぼくにも働きかけているのさ」
その夜、コリンは落ち着いていました。ついに彼はメアリに言いました 「ぼく、もうみじめに子にならないよ。もしぼくが強くじょうぶになるって信じたら、魔法がそれを実現させてくれるのさ」
次の日庭で、コリンはメアリ、ディコン、そしてベンを彼のもとに呼びました。「きみたちに、魔法がきくことを見せてあげるよ」 と、彼は言いました。

 ゆっくりと、同時に何歩か足を踏みだして、コリンは庭のまわりを歩きました。彼の顔は喜びで輝いていました。
「これが一番大きな秘密に違いないよ」 彼は言いました。「もしぼくが歩けて、よく走れるようになったら、お父さんの書斎に歩いていってこう言うんだ 『ぼく、ここにいるよ、じょうぶで強くなったんだ』って」
その秘密を守るのはとてもむずかしいことでした。秘密の花園の魔法は、コリンを明るい目とピンクのほっぺにしました。毎日、コリンとメアリは強くなるために運動をし、2人とも肉づきがよく、健康になりました。
メアリの顔からはあの意地の悪い、いやな顔つきが消えてかわいらしくなりました。コリンはもはや病人のようには見えなくなりました。屋敷の人びとはみんな、この変化におどろきました。
ある朝、コリンは穴を掘る手を止めました。彼は突然自分が違ったように感じました。「ぼくを見て」 彼は叫びました。「ぼくはよくなった。本当によくなったよ。うれしくて叫びたいよ。ずっとずっとぼくは生きるんだ」
さて秘密の花園が、その魔力を発揮していたとき、クレーブン氏は遠い地方を旅行していました。10年もの間、彼は自分の悲しみから逃げ去ろうとし、人になぐさめられるのをいやがってきたのでした。
ある日、オーストリアの地を歩いて、彼は小川のほとりにすわっていました。徐々にですが、彼は自分の心と体が静まっていくのを感じました。その土地の静けさが彼を満たし、その瞬間から彼は健康に、そして幸せになるのを感じました。

 この晩彼は、ミスルスワイト・メノアの妻の庭の夢をみました。その夢がとてもはっきりしていたので、彼はすぐに家に帰らなければならない気がしました。彼は屋敷に着くと、すぐに庭に行ってみました。彼の足どりは重いものでした。愛らしかった妻のすべての悲しい思い出が彼の頭によみがえってきました。秘密の花園のドアの外側に立ってみると、どうして鍵をみつけたのか、ドアの内側から笑い声がきこえてくるではありませんか。

  突然ドアが大きく開き、1人の少年が走りでて彼の腕にとびこんできました。彼は背の高いりりしい少年で、クレープン氏は彼を見て口がきけませんでした。
コリンは静かに立ち上がり、息を整えました。そして言いました 「お父さん、ぼくコリンだよ。信じられないかもしれないけど、本当なんだ」
彼は父を庭へと導き、魔法がどのようにすべてのものを成長させ、彼を強くじょうぶにしたかを話しました。
クレーブン氏はこんなすばらしい話をきいたことがありませんでした。
彼はメアリ、ディコン、そして動物たちのそばにすわり、何年もそうしなかったことでしたが、彼らの話に耳をかたむけ、笑いました。彼は自分の立派で健康な息子を本当に誇らしく思いました。
「さあ」 とコリンは話の最後に言いました 「もう秘密なんていらないんだ。ぼくの車イスも、もういらない。いっしょに歩くよ、お父さん」
2人は立ち上がりました、そしてクレーブン氏は芝生を通って屋敷へと歩いていきました。彼の横には、ヨークシャーでどんな少年より、立派な彼の息子が歩いているのでした。


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