レディバードブックス100点セット
 

 

イソップ物語1

〈しっぽのないキツネ〉

 ある日、1匹のキツネがわなにかかってしまいました。キツネはそこからのがれようと、一所感命ひっぱりました。
ようやく、なんとか抜けだせたのですが、しっぽが取れてしまいました。
しっぽがわなにそのまま残っていたのです。
キツネは、しっぽのない自分の姿を、あまりかっこいいとは思いませんでした。
「他のキツネにからかわれるだろうな」 と、彼は言いました。

 「どうしよう? そうだ、しっぽがない方がいいんだとみんなに思わせてやろう」

 そこで、彼は他のキツネたちにこう言いました 「みんなもしっぽがない方が、もっとかっこうがいいよ。だいたいしっぽが何の役にたつんだい? ぼくを見てごらん。しっぽがないからとても速く走れるんだよ」
ところが、1匹の年老いたキツネがこう言ったのです 「おまえは自分のしっぽをなくしたんで、そう言っているだけだろう。それでおまえは、私たちにしっぽがあってほしくないのさ。でも、私たちは自分たちのしっぽが気に入っているんだ。だからこのままにしておくよ、どうもありがとうよ」

教訓: 賢者は、そうたやすくはだまされない。

 

〈羊飼いの少年とオオカミ〉

 昔、ある農家に1人の少年が住んでいました。毎日、彼は、お父さんの羊を遠くの丘に連れていかなければなりませんでした。彼はたった1人でそこにいるのがおもしろくなかったのです。
ある日、彼はこうつぶやきました 「オオカミだ! オオカミだ! と叫んでやろう。そうすれば、みんなオオカミがぼくの羊を食べにやってきたと思うだろう。みんなぼくを助けに走ってくるだろう。でも、結局オオカミなんていないと知ったらおもしろいだろうな」
こうして彼は 「オオカミだ! オオカミだ!」 と叫び、人びとはみんな、彼を助けに走ってきました。

 みんなが来てくれても、彼はお礼を言いませんでした。ただ 「オオカミなんていないよ。ちょっとふざけただけなんだ。さあ、みんなまた家にもどらなきゃね」 と、言っただけでした。
彼はこんなことを3度もくりかえしました。そしてそのたびに、オオカミなんていないと言ったのです。

 そしてある日、本当にオオカミがやってきたのです。 「助けて! 助けて! オオカミが来た!」と、少年は叫びました。
でも、みんなこう言いました 「オオカミなんていないのはわかっているよ。あいつはただおもしろがって呼ぶだけなんだ。なにも危なくなんかないさ。今回は行かないことにしよう」
こうしてみんなは行かずに、オオカミは羊を全部殺してしまいました。

教訓: うそをつくと、本当のことを言ったときに、人に信じてもらえない。

 

〈ほら吹きの旅人〉

 ある男が、前に一度も行ったことのないところへ行きました。それはとても遠いところにあり、彼は1年ほどそこにいました。国へ帰ってから、彼はそのことをいつも話していたくてしかたがありませんでした。

 人びとはこう言いました 「なぜ彼はいつもその場所のことを我々に話すんだい? べつに知りたいとも思わんよ」
みんなは彼に聞きました 「そこがそんなによかったのなら、なぜ帰ってきたんだい?」

 「みんなに教えにもどってきたのさ」 男は言いました、そして話し続けました。
「そこではね」 彼は言いました 「男たちはみんな上手にジャンプができるんだ。ある日、誰が一番上手にジャンプできるか見てみようということになったんだ。そこで、私たちみんながやってみたのさ。私のジャンプが1番だったよ。私はジャンプの名人なんだよ。みんなそのときそこにいたら、私がどんなにうまいか見られたのになあ」
「君がジャンプするのを見るのに、はるばるそんなところまで行かなくてもよかろう」 男たちのうちの1人が言いました。「ここで、どんなにうまくできるか見せられるじゃないか。さあ、跳んでごらん!」

教訓: 自慢する人は、すぐに底が知れる。

 

〈カラスとキツネ〉

 ある日、大きくて真黒なカラスがチーズをみつけました。
「これを持って、この木に飛んで上がりましよう」 彼女は言いました。
「さあ、食べようかしら」
1匹のキツネが通りかかって、カラスを見ました。彼は、チーズも目にしました。彼もチーズを食べたいと思いました。
彼はどうやってチーズを手に入れようかと考えながら、その木をぐるぐるまわりました。
それから彼はカラスに言いました 「あなたはとても美しいですね。その上に、もし歌も同じくらい上手に歌えたら、まさに鳥の女王にちがいないと思いますよ」

 カラスはたいそう喜びました。彼女は女王と呼ばれるのが好きだったのです。「ええ、歌えますとも」 彼女は言いました。
ところが彼女がこう言ったとき、チーズが彼女のくちばしから落ちてしまいました。

 それは地面に落ちました。キツネはチーズを拾いあげると逃げていってしまいました。
「あなたは鳥の女王かもしれない。あなたは美しいかもしないし、うまく歌えるかもしれない。でもおつむはあまりよくないようだね」 彼は走っていきながら言いました。

教訓: 心にもない、うまいことを言う人に気をつけること。

 

〈誰がネコに鈴をつけるか〉

 あるとき、何匹かのネズミがある家に住んでいました。
その家には1匹の大きなネコもいました。毎日、ネコはネズミを食べたがりました。
とうとうネズミたちはお互いに話し合いました 「これはなんとかしなければ、私たちみんな食べられてしまうよ。どうしたらいいかみんなで考えよう」

 しばらくして年よりのネズミが言いました 「どうすればいいかわかったぞ。誰かが行ってネコに鈴をつけてくるんだ。その鈴が、ネコが近くにいることや、我々が巣にいなければならないことを知らせてくれるだろう。ネコがいなくなったら、また我々は外に出られる」
「そうだ。それは賢いやり方だ。そうしよう」 ネズミはみんなそう言いました。

 「でも、いったい誰がネコに鈴をつけてくるのかね?」 年よりのネズミは言いました。
「私は年をとりすぎている、それほど速く走れないから、私はできんよ」
「我々もそうだよ」 と、他の何匹かのネズミも言いました。
「そしてぼくたちは小さすぎるよ」 と、赤ちゃんネズミたちは言いました。
結局、それをしようとするものは誰もいませんでした。こうして、鈴はネコにつけられることはなく、ネコはネズミを食べ続けました。

教訓: ものごとは、行うより言うが易し。

 

〈カラスと白鳥〉

 あるとき、1匹のカラスが白鳥を見て彼女に言いました 「あなたはなんてすてきなんでしょう! 私もあなたのように白かったらよかったのに。黒いのはいやなんですよ」
彼は、白鳥がいつも水の中にいるのを見ていました。

 「もし水の中に入ったら、私も白くなるかもしれない」 彼は言いました。
そこで彼は水の中に入ってみましたが、外に出たら、やっぱり黒いままでした。
「う一ん、待てよ」 彼は言いました。
「私がもし水の中にずっといたら、白くなるかもしれない」

 カラスは水の中に入る前には、飛びまわってえさを探すことができました。彼はいつもなにか食べるものをみつけていました。
彼は魚があまり好きではなく、しかも水の中では他になにも食べるものをみつけることができませんでした。
こうしてカラスはあまり長生きできず、白くもなりませんでした。

教訓: 他人をまねる前に、よく考えること。

 

〈オオカミと子羊〉

 大きな悪いオオカミが白い子羊を見て、食べたいと思いました。
彼はすぐには子羊を食べませんでした。彼は子羊を殺してしまうよい口実を考えようとしました。
そうすれば、人びとは彼を悪いオオカミとは思わないからです。

 そこで彼は子羊に言いました 「去年、おまえは私の悪口を言ったろう」
「でも私はまだ赤んぼうなんですよ。去年は生れていませんでした」 子羊は言いました。
「そうかい、それじゃあ、おまえは私の夕食を食べてしまったろう」 次にオオカミはこう言いました。
「でも私はあなたの夕食なんて食べられませんよ」 子羊は言いました。
「私はまだ幼いんです、飲むことしかできません」
「そうだ! おまえは私の水を飲んだだろう」 オオカミは言いました。
「でも私はお母さんのお乳しか飲めないんです」 子羊は言いました。
「そうかい?」 オオカミは言いました。「でも私は食べることができるし、おまえを食べてやろう。

 今、そうするんだ、すぐに夕食がほしいからな!」
そういうと、彼は子羊にとびかかりました。そしてそれが子羊の最期でした。

教訓: 悪事を働こうとする者は、いつもなにかしら口実をみつけるものだ。

 

〈ライオンと野ウサギ〉

 あるとき、ライオンが1匹の野ウサギをみつけました。彼が野ウサギを食べようとしたとき、鹿が1匹そばを通りました。
「あの鹿の方が、もっと大きな夕食になるぞ」 彼は言いました。
そこで彼は野ウサギを放してやると、鹿を追いかけました。ところが鹿は、それはとても速く走ることができたので、すぐにどこかへ行ってしまいました。

 ライオンは鹿がつかまえられないとわかると言いました 「あの野ウサギをつかまえにもどろう」
でも彼が野ウサギのいた場所にもどると、ウサギはもういなくなっていました。
「最初に見たとき、あの野ウサギを夕食にしておけばよかった」 ライオンは言いました。「私は欲ばりすぎて、結局なにもなくなってしまった」

教訓: 自分の持っているものに満足するのも、ときにはより賢明だ。

 

〈弟と姉〉

 昔、男の子と女の子の2人の子どもをもつ男がいました。男の子はとてもきれいな顔をしていましたが、女の子はそうではありませんでした。
ある日、2人は鏡をみつけて、初めて自分たちがどんな顔をしているかを見ました。男の子はとてもいい気分になりました。彼はお姉さんに 「ぼくはなんてハンサムなんだろう! お姉さんよりずっときれいだよ!」 と、言いました。

 女の子は男の子の言ったことが気にさわり、彼をつきとばしました。
「あっちへ行ってよ!」 と、彼女は言いました。
2人のお父さんはそれを見ていて、男の子に言いました 「顔がよいのと同じように、いつもよい人間でいなくてはいけないよ」

 それから彼は女の子に言いました 「姉よ、人びとを助けて、喜ばせようと努力すれば、みんなおまえを好きになってくれるよ。おまえが弟ほどきれいでないというようなことは問題じゃないよ」

教訓: ただ、みかけが立派ということより、実質立派であるということの方がよりすぐれている。

 

〈金の卵を産むガチョウ〉

 昔、おじいさんとおばあさんが、1羽のガチョウを飼っていました。おじいさんたちのは普通のガチョウとはちがっていました、卵が違っていたからです。卵は金でできていました。
毎日、ガチョウは、おじいさんとおばあさんのために金の卵を産みました。
2人は卵を売って、たくさんのお金を受けとっていました。ところが、お金が入れば入るほど、2人はもっとお金がほしくなったのです。

 2人は言いました 「金の卵を産むんだから、このガチョウは金でできているにちがいない。だから、ガチョウを切りひらいて、すぐに金を全部取りだそう。そうすればもっとお金が手に入るだろうよ」
こうして2人はガチョウを殺しましたが、金はみつかりませんでした。2人はガチョウを開いてみて、他のガチョウとまったく変りないことを知りました。

 そしてそれ以後、もう金の卵はありませんでした。こうして2人はもうお金を手に入れることはできなかったのです。結局2人には、なにも残りませんでした。

教訓: 欲深な者は、すべてを失う。

 

〈風と太陽〉

 ある日、風が太陽に言いました 「道を歩いているあの男をごらん。私はあなたより早く、彼のコートを脱がせてみせるよ」
「それはやってみなくてはね」 太陽は言いました。「まずあなたに先にやらせてあげよう」
そこで風は、その男にコートを脱がせようとしてみました。彼は懸命に吹きつけましたが、男は、ただ、よりしっかりとコートを体にまきつけただけでした。

 「降参だ」 とうとう風は言いました。「彼のコートを脱がせることはできないよ」
そこで、太陽がやってみました。太陽はできるだけ強く照りつけました。男はすぐに暑くなって、コートを脱ぎました。

 「私の勝ちだよ」 太陽は言いました。「私が彼のコートを脱がせたんだから」

教訓: やさしさは、しばしば力よりすばやくものことを成しとげる。

 

〈木と斧〉

 昔、1人の男が家をつくるのに、木を何本か切りたいと思いました、でも斧には柄がついていなかったので、それを使うことができませんでした。
そこで、彼は木のたくさん生えている丘のてっぺんに行くと、木に言いました 「この丘から木を取っていいかね?」
でも、彼はなぜ木がいるのかは言いませんでした。

  木々はお互いに言いました 「うんと小さな木をやろう。そうすれば彼は行ってしまって、もうなにも我々に要求しないだろう」
こうして木々は彼に小さな木を与え、男は家に帰りました。家に着くと、彼は斧の柄をつくりました。

 それから彼は丘にもどって、他の木を切りはじめました。
「もし小さな木をやらなかったら、彼は我々を切ることはできなかったのに」 と、木々は言いました。
でも、彼を止めるにはもう遅かったのです。

教訓: ささいなことを許すのに気をつけること、さもないと、たいへんなことを許すはめになる。


もどる