レディバードブックス100点セット
 

 

イソップ物語2

〈犬と水に映った影〉

 ある日のこと、犬がお店から骨をぬすみました。犬は骨を持って、だれにもつかまらないうちに、走って逃げました。
犬は川にやってきて、橋を渡りかけました。犬が水面を見下ろしますと、骨をくわえた別の犬が見えるではありませんか!

 犬は、水の中にいる犬が、自分自身の映った影だということがわからなかったのです。
「あの犬は、大きな骨を持っている。私の骨と同じくらい大きいぞ」 と、犬は言いました。
「水の中にとびこんで、あの犬から骨をとってやろう」 というわけで、犬はとびこみました。

 水の中に入ると、犬はもう1匹の犬が見えなくなりました。それに、もう1本の骨も見えなくなりました。
犬は、自分がもっていた骨も、水の中にとびこんだときに落してしまい、なくしてしまったのです。
ですから、欲ばりをしたために、犬はとうとうなにも手に入れられませんでした。

教訓; 欲ばって、もっとほしがると、おしまいには損をしますよ。

 

〈モミの木といばら〉

 ある日、丘のてっぺんで、モミの木がいばらに言いました。「私を見てごらん、私は背が高くて、強く、気品があって、とても美しいだろう。君には、なにかいいところがあるかい? 君は小さくて、みにくいし、ゴチャゴチャもつれているじゃないか」

 こう言われて、いばらはとても悲しくなりました、モミの木の言うとおりだとわかっていたからです。
しかし、次の日に、男たちが数人、おのを持って丘を上ってきました。

 男たちは、モミの木を切りたおしはじめました。男たちは、モミの木を、新しい家を建てるために使いたいと思ったのです。
「なんてことだ!」 モミの木は、たおれはじめながら叫びました。
「ぼくもいばらだったらよかったのに、そうすれば、男たちもぼくを切らなかっただろう」

教訓; あんまり自分のことを自慢していると、あとで後悔することになりますよ。

 

〈アリと鳩〉

 ある暑い日に、アリが水をひと口飲もうと川へ行きました。しかし、アリは川に落ちてしまい、あがることができませんでした。
アリがあぶないということを、1羽の鳩がみつけました。「アリを助けてあげなくては」 鳩が言いました。「この葉をつんで、水に落したら、アリその上に乗ることができる。小さな船のようになるでしょう」
そこで鳩は1枚の葉を水に落し、アリはその上に乗ることができました。

 「どうもありがとう、鳩の奥さん」 アリが呼びかけました。
「いつか、あなたを助けてあげますよ」
その後まもなく、弓矢をもった男が通りかかりました。男は木の上に鳩がいるのを見て、鳩を矢で射ようとしました。
ちょうどそのとき、アリが通りかかり、その男の足をかみました。
そのため男はとびあがり、矢は空に向かって、とびました。

 矢は鳩に当らなかったので、鳩は無事に飛んで逃げました。
「小さなアリさん、どうもありがとう」 鳩は、ククーと鳴きました。
「やっぱり、あなたは私を助けてくれましたね」

教訓; どんな人でも、かならずなにかの役に立つものです。

 

〈男の子とカエル〉

 ある日、4人の男の子が、池のそばに遊びに出かけました。
その池にはカエルが数匹、住んでいました。池がそのカエルたちのすみかだったのです。
1人のいたずらっ子が、カエルをみつけて他の男の子たちに言いました
「ねえ、みんな、カエルを池からとび出させようよ。おもしろいよ!」

 そこで、男の子たちはみんな、カエルに投げつけるものをさがしました。
小さなカエルが1匹、男の子たちがなにをしているのか、見ていました。
小さなカエルは、これは困ったことになったと思いました。
そこで、そのカエルは、男の子たちの前の水面に浮かんだ葉の上に、ピョンととびのりました。

 「やめてくれ!」小さなカエルは、そう叫びました。
「君たちが、もしカエルだったら、石を投げつけられたくはないだろう。君たちはおもしろいかもしれないが、ぼくたちには、ちっともおもしろくないんだよ」

教訓; 自分がされたくないことば、人にもしないこと。

 

〈カラスと水差し〉

 大きな黒いカラスが、水をひと口飲みたいと思いました。
カラスは、底に水が入った大きな水差しを見ました。カラスは水に届くことができなかったので、どうしようかと思いました。

 「そうだ、わかった」 カラスは言いました。「石をいくつか、水差しにいれよう。そうすれば、水は口の方に上がってくるだろう」
最初の1個を入れると、水は少し上がりました。それからもう1個入れますと、水はもっと上がりました。
カラスは、もっともっとたくさんの石を入れ、とうとう水は水差しの口のところまできました。

 「これで、水に届くことができる。とうとう、水が飲める」 と、カラスは言いました。
カラスは、心ゆくまで水を飲みました。

教訓; 一所懸命がんばりさえすれば、最初はとてもたいへんそうに見えることでも、ちゃんとできることがわかるでしょう。

 

〈かいばおけの中の犬〉

 ある日、犬が走ってきて馬小屋に入り、かいばおけの中にとびこみました。
かいばおけの中には、干草がはいっていました。
馬と牛が干草を食べたいと思っても、犬は食べさようとはしませんでした。
「きみは干草を食べないんだから、干草はいらないだろう」 牛が言いました。

 「ぼくたちは干草がほしいんだ。それはぼくたちのものだ。ぼくたちの食事なんだ」 と、馬も言いました。
しかし、犬はこう言いました 「もしぼくが、干草を食べられないなら、だれにも食べさせないぞ!」

 「どうして」 と、牛がたずねました。
「どうして」 と、馬がたずねました。
「どうしてって、ぼくが食べられないものを、君たちが食べるのを見たくないからさ」 と、犬は言いました。「あっちに行ってしまえ!」
というわけで、牛と馬はおなかをすかせたままで、行ってしまわなければなりませんでした。

教訓; あなたがいらないものを他の人たちが持つことを、じゃましてはいけません。

 

〈キツネとブドウ〉

 キツネがみごとなブドウをみつけました。
「おいしそうだな」 と、キツネは言いました。
「あのブドウを食べたいな、でも、おれには高すぎる。とび上がって、届くかどうかやってみよう」
キツネは、何度も何度もとび上がりました。
もう一度、またもう一度と、.とび上がりましたが、ブドウに届くことはできませんでした。

 そこで、キツネは言いました 「今見ると、あのブドウは緑色だ。あのブドウは甘くないんだ。おれは緑色のブドウは好きじゃない。緑色のブドウはすっぱいんだ。おれはそんなものほしくないさ」
それで、キツネは1つも取らずに立ち去りました。
キツネは、ブドウがほんとうはとてもおいしいことを知っていたのです。
キツネが、ブドウはすっぱいと言ったのは、ブドウに届くことができなかったからでした。

教訓; あなたがなにかを手に入れることができないからといって、そんなものほしくないなんていうのは、おばかさんです。

 

〈オオカミと犬〉

 ある日、オオカミが犬に向かって、こう言いました 「君たちは、おれたちによく似ている、おれたちのところに来て、いっしょに暮さないか」
犬たちは言いました 「ぼくたちは、農場でご主人のために働かなくてはならないんだ。ご主人は、ぼくたちを信用して、羊をオオカミから守る番をさせているからね」

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「どうして、主人のために働くんだい」 と、オオカミのうちの1頭が言いました。
「主人はきみたちをこき使っている。おれたちは働いたりしなくてもいいし、食べるものだってたくさんある。おれたちのところにおいでよ」 と、もう1頭のオオカミが言いました。
犬たちは、長い間考えました。
とうとう、犬たちは決心しました。
「よし、わかった」 犬たちは言いました。
「きみたちの仲間に入ろう」
というわけで、犬たちは羊の群を残して、オオカミといっしょに行ってしまいました。

 彼らが遠く離れたとき、オオカミは犬たちの方をふり返っていました
「さて、われわれが君たちをここに連れてきたということは、君たちを食べようと思うからだ」
そして、オオカミたちは、犬を食べてしまいました。

教訓; 信頼するに足りない者には、ひどい目にあっても、しかたありません。

 

〈キツネとライオン〉

 ある日、キツネがライオンを見かけました。
キツネがライオンを見たのは、それが初めてでした。
ライオンがあまりにも大きく見えるので、キツネはどうすればいいか、わかりませんでした。
キツネは、全速力で逃げだしました。

 しばらくして、キツネは、またライオンに出会いました。
今度は、キツネはこう言いました 「この間、君を見かけたんだ。君の顔つきが気に入らなくてね。君は大きすぎるよ。君は、ぼくを食べたいと思っているんじゃないかい」
そして、キツネはまた逃げました。
キツネは走りながら考えました 「あのライオンは、前にぼくを食べなかったぞ」
ですから、今度は、キツネもそれほど必死に走りませんでした。
翌日、キツネはまたライオンに会いましたが、ぜんぜん逃げませんでした。

 「おはようございます、ライオンさん」 キツネは言いました。
「ぼくは以前、君に会ったことがある。君は、今日そんなに大きく見えないな。もう、君のことは恐くないよ」
というわけで、キツネは腰をおろし、ライオンといっしょに、長い間おしゃべりしました。

教訓; ものごとは、いつも最初のみかけだけではわからないものです。

 

〈クマと旅人〉

 ある日、2人の男が旅の途中、クマを見ました。
最初、クマは男たちに気がつきませんでした。
1人の男は、全速力で木に登りました。
もう1人の男は、のろまでした。
「どうか、ぼくを助け上げてくれ」 その男は呼びかけました。

 しかし、最初の男はもっと高いところに登り、もう1人の男をほったらかしにしました。
「どうしよう」 木の下の男は言いました。
「もし走って逃げだせば、クマはぼくをみつけるだろう。もしクマがぼくをみつけたら、ぼくを食べてしまうだろう」
そこで、男は地面の上に横になり、動きませんでした。

 クマがやってきて、男のまわりを歩いて一回りしました。
とうとう、クマは行ってしまいました。
木の上に登っていた男が下りてきました。
男が言いました 「あのクマは、きみのすぐそばまで来たね。なにか言ったかい」
「ああ」 もう1人の男は答えました。
あのクマは、こう言ったよ 「危険な目にあってるときに、ほったらかしにするような男といっしょに外に出てはだめだって」

教訓; ほんとうの友人なら、あなたが困っているときに、知らん顔をしたりしないものです。

 

〈キツネとコウノトリ〉

 ある日、キツネがコウノトリに言いました 「ぼくの家に食事にきませんか」
「うん、どうもありがとう」 と、コウノトリは言いました。「とても楽しみだな」
ところが、コウノトリがキツネの家に着いてみると、キツネは、ごちそうを2つの平たいお皿に盛っていたのです。

 コウノトリは、長いくちばしがじゃまで、ごちそうを少しも食べることができませんでした。
キツネはすぐに自分の分を食べてしまい、コウノトリに言いました 「食事が気に入らないのかい? もし、なんにも食べられないのなら、ぼくが君のかわりに食べてあげよう」
こうして、キツネは、自分の分といっしょに、コウノトリのごちそうまで食べてしまいました。

 しばらくして、コウノトリが、キツネを食事に呼びました。
コウノトリは、食べものを長い首のついたつぼに入れました。
今度、食べものに届かないのは、キツネの方でした。
キツネは、コウノトリが2人分のごちそうを食べるのをじっと見ていなければなりませんでした。

教訓; 人にたちのよくないいたずらをすると、同じいたずらをされますよ。

 

〈男と山ウズラ〉

 ある日のこと、まるまるとふとった山ウズラが、おなかをすかせて、鳥のわなに迷いこんでしまいました。
山ウズラは、わなの中にあった食べものをこくりとのみこんでしまってから、そこから出られないことに気がついたのです。
わなをかけた男が、すぐ後にやってきました。
男は、こんなによくふとった鳥がわなにかかっているのを見て、とてもうれしくなりました。

 山ウズラはとても悲しくなって、出してくれるようたのみました。
「ああ、お願いですから、だんなさん」 山ウズラはたのむよう言いました
「もし、私を自由にしてくれたら、私は友だちをみんなひっぱって、あなたのわなの中に入れてあげます。そうすれば、ずっとたくさんの鳥が手に入りますよ」

  男はまるまるとした山ウズラをわなから取り出し、言いました 「もし、おまえがそんなことをするなら、おまえは死んで当然だ。そんな恥知らずなことをしようと思うなんて、悪い鳥だ」
そう言ってから、男はその山ウズラを、夕食にしようと持って帰りました。

教訓; 裏切り者は、だれからも愛されません。


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