レディバードブックス100点セット
 

 

ピーターとおおかみ

むかしむかし、ピーターという男の子がいました。ピーターはおじいさんといっしょに緑の草地のそばの家にすんでいました。近くの森には、あらゆる種類の危険がありました。
「決して、ひとりで草地に入ってはいけないよ、ピーター。おなかをすかしたおおかみが森からでてきて、おまえを食べてしまうかもしれないからね」と、ある日おじいさんは注意しました。

ピーターは恐れませんでした。ある晴れた朝、彼は庭の門を開けて草地に入っていきました。
木の高いところにある小枝に小鳥がとまっていました。「やあ、ピーター! こんなところでたった一人で何しているの?」と、小鳥はチュンチュンいいました。
「とても気持ちのいい朝だから、散歩しているんだよ」
ちょうどそのとき、あひるが小屋の上を伝って、水かきのある足でよたよたやってきていました。あひるは近くの池で泳ごうと、あいていた門をぬけてピーターについてきたのでした。

あひるを見ると、小鳥は草の方へ下りてきました。「どうして君は、そんなによたよた歩くんだい? どうしてぼくみたいに飛ばないんだい?」と、いじわるそうにたずねました。
「だれに飛ぶ必要があるっていうの? わたしは泳げるのよ」と、あひるはいいました。そして彼女は、羽をふりひろげて池の中に飛びこみました。「さあ、入っていらっしゃいよ、水はすてきよ」
「冗談でしょ、ぼくは泳がないよ」小鳥はなじりました。

「あんたは泳げないのね」あひるはあざけったようにいいました。
小鳥は、かっとなってぴょんぴょんはねました。
あひるは池をぐるぐる泳ぎまわりました。ピーターは、たけの長い草の中に立って、鳥たちのいいあいを見ていました。

突然、ピーターはたけの長い草がゆさゆさゆれるのに気がつきました。大きなトラねこが、小鳥にしのびよっていました。
ねこはひとり言をいっていました。「あの鳥はいい合いに忙しくて、おれに気がついてないぞ」と、足音をたてずに鳥のほうへはっていきました。
「気をつけろ!」ピーターは知らせました。鳥はいそいで木に飛び上がりました。
あひるは怒って、池の中央から、ねこにむかってクワックワッいいました。
ねこは、プリプリしながらゆっくり歩いていきました。そして、草の中にすわると、からだをきれいにしはじめました。「ああ、見ていろ、こんどはあの鳥をつかまえてやるから」

ちょうどそのとき、おじいさんが家から出てきました。ピーターが草地にいるのを見て、とても怒りました。
「もし、おおかみが森から出てきたらどうするんだ、その時おまえはどうするつもりなんだ」
ピーターは何もいいませんでした。彼は、おじいさんのいいつけを守らなかったことを後悔していましたが、どうしてそんなにさわぎたてるのか、本当はわかっていませんでした。
おじいさんは、ピーターを庭に連れ戻し、門の鍵をかけました。

ピーターが草地からいなくなるとすぐに、おなかをすかした大きなおおかみが森から出てきました。光のような速さで、鳥は木のてっぺんに飛び上がりました。ねこも同じように木によじ登りました。
あひるは、びっくりしすぎて池から飛び出しました。
おおかみは、あひるを見つけて追いかけました。あひるは必死で走りましたが、おおかみのほうがもっと早く走り、とうとうつかまってしまいました。
一口で、おおかみはあひるを飲みこんでしまいました!

ねこと小鳥は、木の枝の高いところに、いっしょにすわっていました。おおかみはどん欲な目で彼らを見上げながら、木のまわりをうろつきはじめました。
ピーターは、門の影から見ていて、とても良い考えが浮かびました。ねこと小鳥を助ける方法がわかったのです。
ピーターは、長いロープを見つけました。それから庭の塀をよじのぼりました。うまく塀のてっぺんにすわると、ロープで輪をつくりはじめました。

ピーターは鳥にむかってよびかけました。「降りてきて、おおかみの頭のまわりを飛び回って、でもつかまらないようにするんだよ」
そこで小鳥は、もう少しでおおかみの頭に羽がつきそうになりながらグルグル飛び回りました。
おおかみは怒って、小鳥に食いつこうとしましたが、すぐにとても気分が悪くなってしまいました。

ピーターは、ロープで輪を作り終えていました。彼は注意深くロープを下ろし、おおかみのしっぽに引っかけて、力いっぱい引っぱりました。おおかみは逃げようとして、乱暴に飛び上がりました。しかし、かしこいピーターはロープのもう一方の端を木に結びつけておきました。おおかみが逃げようとすればするほど、ロープはきつくしまりました。おおかみは簡単には逃げられませんでした。

突然、何人かのハンターがおおかみの足跡を追いかけて、森から出てきました。
「撃たないで!」ピーターは叫びました。「小鳥とぼくが、おおかみを捕まえた。ぼくたちはこいつを動物園につれていくんだ」
ハンターたちは、塀の上にすわっているピーターを見上げながら、どんなに驚いたことでしょう。

その日の午後、ピーターは意気揚々と、行列を引き連れて、動物園にむけて出発しました。ピーターの後ろに、おおかみを連れたハンターたちが続きました。おじいさんは、ねこといっしょに後ろについていき、小鳥は先頭を飛んで行きました。
あひるはといえば、おおかみのおなかの中で、クワックワッいっていました。「心配しなくていいよ」ピーターはあひるにいいました。「動物園の飼育係の人たちが、きっと君を自由にしてくれるよ」
そして、彼らはそうしたのです!


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