レディバードブックス100点セット
 

 

12人の踊る王女

昔、12人の美しい王女を持つ王さまがいました。12人とも同じ部屋で眠り、毎晩ベッドにつくときには、王さまはドアを閉め、かんぬきを下ろしました。

でも、毎朝王さまが王女たちのドアを開けてみると、彼女たちの靴が、完全にすり切れているのを見つけました。
「これはどうしたことだ」王さまは疑いました。「娘たちは、毎晩何をしているのだ」だれも、それがわかりません。

ついに王さまは、娘たちがどうして靴をすりきれさせたかを探し当てたものに、娘たちのひとりを妻にえらびとらせると、おふれを出しました。

その翌日、若い王子が運をかけてこれに挑戦しようとやってきました。
王子は、王女たちの寝室のとなりに部屋を与えられ、見張るようにいわれました。そうすれば、王女の部屋のドアは開けられているため、彼女たちが何をしたかを知ることができます。
ほどなく、王子のまぶたは重くなりました。目を開けていようと努力しましたが、だめでした。
よく朝、王子がめざめたとき、王女たちの靴はまたすりきれていました。王子は失敗し、宮殿を去らなくてはなりませんでした。

もっともっとたくさんの若者が、運をかけてやってきましたが、みんな失敗しました。
ある日、貧しい兵隊が、王女たちのなぞのことを耳にして、挑戦したいと思いました。宮殿へいく途中、彼はひとりの老婆に出会いました。

「私はあんたの手助けが出来るよ」と老婆はいい「王女たちがどこへ行き、何をしているかが知りたければ、出されたものを飲まずに、ぐっすり眠ったふりをしなさい」
それから、兵隊に1枚のマントを渡しました。「それを着れば姿が見えなくなるから、王女たちがどこへ行くか、あとについていけるよ」といいました。

そこで兵隊は、宮殿に向かいました。彼の前の男たちのように、王女たちの隣の部屋に部屋を与えられました。ほどなく一番年上の王女が入ってきて、彼にワインをさしだしました。

老女が兵隊に話したことを思い出し、その兵隊はワインを飲むふりをしました。
それから彼は横になり、少しして、まるでぐっすり寝入ったふりをしました。

王女たちは彼のいびきが聞えると、きれいな衣服を着、宝石を身につけました。みんなが出かける用意をし、兵隊をもう一度みて、まだぐっすり眠っているのがわかりました。「だいじょうぶだわ」年上の王女がいいました。

それから年上の王女は、ベッドのところへいくと、トントンたたきました。すると、ベッドは床に沈んで、広い階段になりました。一人ずつ階段をおりていきます。これをみんな見ていた兵隊は、少しの時間もむだにできません。マントを肩にかけ、王女たちのあとについていきました。

階段の下には、りっぱな木々が列になっていました。葉っぱはみんな銀で、キラキラ、ギラギラ輝いていました。「私がここに来たことを証明する何かがあるといいな」と兵隊は思いました。彼は、木の枝を1本折ると、マントの下に隠しました。

次に王女たちは、金の木々の列のあるところへ来ました。もういちど兵隊は、何か証拠をもっていこうと、金の枝を折りました。

ついに王女たちは、ほんものの透きとおったダイヤモンド葉っぱの木々のところにやってきました。兵隊は、この枝も取りました。

王女たちは、広い川のところやってくるまで歩き続けました。川のほとりに12せきの小舟が待っていて、それぞれにハンサムな王子が乗っていました。王女をそれぞれの小舟に招きいれました。

兵隊は、いちばん若い王女といっしょに、最後の小舟に乗りこみました。王子は「今夜の小舟は、ちょっと重いみたいだな。こぎだすのに、力いっぱいこがなくちゃならないのは、どうしたわけだろう」といいました。

川の向こう岸には、とても大きな宮殿がありました。あかあかとあかりがともり、中から生き生きとした音楽が流れてきました。みんな中に入っていきました。

広々とした舞踏場があって、トランペットやドラムの音楽に合わせて、クルクル、グルグル、王子はそれぞれの王女と踊りました。みんなは、朝の3時まで踊りにおどりました。王女たちの靴は、みんなすりきれるほどで、それで踊りをやめなくてはなりませんでした。

王子たちは小舟をこいで川を横切りもどりました。兵隊はこんどは一番年上の王女といっしょに、さいしょの小舟にすわりました。岸につくと王女たちは、王子たちにわかれをつげ、また明日の夜の約束をしました。

階段に着いたとき、兵隊は前に走りました。すばやくベッドにのぼって、枕の下に3本の枝を隠しました。王女たちが入ってきたときまでに、彼の眼は閉じられ、もういちど大きないびきをかきました。「彼の心配は不要だわ」年上の王女はいいました。

王女たちはりっぱな衣服をぬぎ、宝石をはずしました。それからすりきれた靴をベッドの下に置いて、ぐっすり眠りました。

翌朝、兵隊は王さまのところへいきました。
「どうじゃ、娘たちが、毎晩何をしていたかわかったかな」といいました。
「はい、王さま。12人の王女さまは、地下の宮殿でダンスをしていました」と答えて、王さまに、おこったことのすべてを話し、3本の枝を見せました。

王さまは娘たちに、兵隊がいったことが真実であるかをただしました。王女たちは秘密が知られたことは残念に思いましたが、うそではないことを知っていました。「はい、みんなほんとうのことです」と、いいました。

そこで王さまは兵隊に、どの王女と結婚したいかをたずねました。兵隊は、いちばん年上の王女を選び、かれらは幸せに暮らしました。それで、12人の王女たちは、地下の宮殿に行くことはなくなったのでした。


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