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しあわせのおうじ 1/6

 まちの ひろばに、〈しあわせの おうじ〉の ぞうが たっていました。

 めは あおい サファイア、

 かたなの つかは あかい ルビー、

 そして、からだを きんで かざられた おうじの うつくしさは、なんとも たとえようの ないほどでした。

 「みてごらんよ。

 おうじさまは、なんて うつくしいのだろう。」

 〈しあわせの おうじ〉は、まちのひとたちの かけがえのない たからだったのです。


 あるよるの ことです。

 この まちに、一わの ツバメが とんできました。

 「みちくさを してた おかげで、すっかり なかまから おくれちまった。

 いまごろ、みんなは エジプトに ついているだろうな。」

 ツバメは ぶつぶつ いいながら、まちを みおろしていましたが、

 「あそこが いいや!

 かぜとおしも よさそうだし、ゆっくり ねむれるぞ。」

 と いって、〈しあわせの おうじ〉の あしもとに とまりました。


 「こんやは ぐっすり ねむって、あしたの あさはやく エジプトへ とびたとう。」

 ツバメは ひとりごとを いいながら、めを とじました。

 そのとき、

 ポツリッ。

 おおきな しずくが、ツバメの あたまに おちてきたのです。

 「おや、あめかな?」

 ツバメは そらを みあげました。

 うつくしい ほしぞらです。

 ツバメが くびを かしげていると、

 ポツリッ。

 また一つ、しずくが おちてきたのです。


 ツバメは、ひょいと くびを あげました。

 そして、みたのです!

 〈しあわせの おうじ〉の ほおが なみだに ぬれ、つきの ひかりを あびて、きらきら うつくしく ひかっているのを。

 「あなたは、どなたです?」

 ツバメは、びっくりして たずねました。

 「ぼくは、しあわせの おうじだよ。」

 「それなら、なぜ ないたりするんです?」

 ツバメが ふしぎそうに たずねると、おうじは、いいました。

 「たしかに、ぼくが いきていたときは しあわせだった。

 ほしい ものは、なんでも てに はいったし、すきな ことをして くらしていたからね。」


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