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塙保己一 3/7

商人に手をひかれて江戸へ

 保己一は、両親や和尚たちの愛情につつまれ、目が見えなくてもひねくれるようなこともなく、明るく成長していきました。畑しごとはてつだえませんが、自分でできることは自分でかたづけて、できるだけ、人にめいわくをかけないように心がけました。

 ところが、保己一が11歳になったとき、悲しいことがおとずれました。たとえようのないほど大きな愛情をそそいでくれた母が、病気で亡くなってしまったのです。

 保己一は、何日も何日も、母をしたって泣き暮らしました。でも、母はもうもどってはきません。やがて気をとりなおした保己一は、やさしかった母が、あの世でよろこんでくれるような人間になろうと、決心しました。

 それから3年ごのこと、保己一は、江戸へ行かせてくれるように父にたのみました。自分の力で生きる道をさがしたいと思ったからです。もちろん、目の不自由なことを気づかう父には、強く反対されました。しかし保己一は、何度もたのみつづけて、最後には、とうとう父を説きふせました。

 保己一は、知りあいの絹商人に手をひかれて江戸へでると、幕府の将軍につかえる、東条信濃守という旗本の家に住みこみました。保己一には、これが幸運でした。いろいろなことを学びたいという、保己一の心がけに感心した信濃守のせわで、雨富検校という身分の高い盲人のところへ、弟子入りさせてもらえることになったのです。


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