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ジェンナー 2/6

中学を卒業して医者の道へ

 「ぼくは医者になって、病気に苦しむ人たちを助けよう」

 成長するにつれて、ジェンナーは医者の道へ進むことを考えるようになりました。近所の美しい娘が天然痘にかかって、顔じゅうあばただらけになってしまったのを見たことも、その大きなきっかけでした。

 15歳で中学を卒業したジェンナーは、外科医ラドローのもとで、医学の勉強を始めました。

 このラドローのところにいたときのことです。牛の乳しぼりをしている農婦が、診察を受けにやってきました。高い熱で苦しそうなのを見て、ラドローは「天然痘かもしれない」と言いました。すると農婦は、そんなことがあるものですか、というような顔をして答えました。

 「わたしは、天然痘にはかかりませんよ。だって、もう、牛痘にかかったことが、あるんですもの」

 牛からうつる牛痘に1度かかった人は、天然痘にはかからない、という言い伝えを聞いていたラドローは、軽く笑っただけでした。農民たちの迷信にすぎないと、考えていたからです。ジェンナーも気にとめませんでした。しかし、このときのことが、のちの大発見の手がかりとなったのです。

 21歳の年にロンドンへ出て、有名な外科医ハンターの弟子になり、2年間、勉強しました。ハンターのところで学べたことは、たいへん幸せでした。

 ハンターは、病気の原因をどこまでも追究し、治療方法を、絶対に正しいと信じられるようになるまで、何度でも確かめてみる人でした。ジェンナーは、真実をきびしく追究する科学者の態度を、ハンターから学びとりました。

 自然科学全体に興味をもっていたジェンナーは、ロンドンにいるあいだに、動物学、鳥類学、地質学なども勉強しました。博物学者としての名が広まり、探検家のジェームズ・クックから世界一周の航海にさそわれたこともありました。でも、医者として人のために生きるというジェンナーの決心は、変わりませんでした。

 いつかきっと、天然痘から人びとを救わねばならないと、心に決めていたのかもしれません。

 「病気で苦しむ人たちが待っている」

 1773年、ジェンナーは故郷のバークリーへ帰り、病院を開きました。24歳でした。


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